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経費精算の不正事例6つ|見落とす会社の共通点と見つけた後の順番

経費精算の不正事例は、金額を盛る・無いものを申請する・私的な支出を混ぜるの3系統6つの手口に分かれます。経理担当者200人の調査では67.5%が不正・不備を見つけた経験があり、交通費の水増しが最多でした。疑う前に誤りと分ける手順と、見つけた後の順番を解説します。

経費精算の不正事例6つ|見落とす会社の共通点と見つけた後の順番

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経費精算の不正事例は、金額を盛る・無いものを申請する・私的な支出を混ぜるの3系統、6つの手口にほぼ分かれます。経理担当者200人への調査では、67.5%が経費精算の不正・不備を見つけた経験がありました。最も多い手口は交通費や通勤手当の水増しです。不正を疑う前に誤りと分け、見つけた後は証憑を残す所から順に進めてください。

この記事は、社員の経費精算に不正が紛れていないか不安で、確かめ方と見つけた後の進め方を決めたい中小企業の経営者・管理部門の責任者向けです。

※ 2026年11月時点の情報です。調査の数字は各出典の公表時点、制度の記載は国税庁の案内(2026年11月に確認)に基づきます。

この記事でわかること
  • 経費精算の不正6つの手口と、申請のどこに出るか
  • 不正を疑う前に、仕訳の誤りと分ける見方
  • 不正を見つけたときの対応の順番
  • 社内で確かめるか、外のチェックを入れるかの決め方

経費精算の不正事例は6つの手口に分かれる

経費精算の不正は、金額を盛る・無いものを申請する・私的な支出を混ぜるの3系統に、手口が2つずつあります。

経費精算の不正6つの手口: 金額を盛る(交通費の水増し・領収書の書き換え)、無いものを申請する(カラ出張・架空の申請・同じ領収書の二重申請)、私的な支出を混ぜる(私的な飲食を交際費に・業務外の備品の購入)
経費精算の不正6つの手口
経費精算の不正とは、社員が業務に使っていない支出や、実際より多い金額を、立替経費として会社に払い戻させる行為です。うっかりの誤りとは、同じ型をくり返すか、隠す手を加えているかで分かれます。

6つの手口と、申請のどこに跡が残るかを表にまとめます。

系統 手口 跡が残る場所
金額を盛る 交通費・通勤手当の水増し 定期区間と重なる経路、実際より遠い経路
金額を盛る 領収書の書き換え 手書きの金額、宛名や但し書きの無い領収書
無いものを申請する カラ出張・架空の申請 出張日の勤怠、訪問先の記録が無い
無いものを申請する 同じ領収書の二重申請 紙とデータで同じ日付・同じ金額
私的な支出を混ぜる 私的な飲食を交際費に 休日の日付、同席者の欄が空白
私的な支出を混ぜる 業務外の備品の購入 自宅への配送先、私物と同じ型番

表の右の列は、経理が申請を見るときの目の付け所です。手口ごとに見る場所が違うので、全部を同じ目で見ると見落とします。

経理のセルフチェック(全5問・無料・登録不要)

Q1経理の作業が、1人の担当者(または兼任の人)に集まっていますか?

答えると残りの4問へ進み、経理のうち外に出せる範囲の目安が出ます。答えはどこにも送信しません。

経費精算の不正はどのくらい起きている?調査の数字

経費精算の不正は、経理担当者の約7割が不正・不備を見つけたことがあるほど、身近に起きています。

株式会社ChillStackが2024年7月に公表した調査は、従業員50名以上の企業の経理担当者200人が対象です。67.5%が経費精算の不正・不備を見つけた経験があると答えました。

見つけた経験のある135人に手口を聞くと、多い順に次のとおりです。

  • 交通費や通勤手当の水増し請求は51.1%でした
  • 架空の経費申請は41.5%でした
  • 業務外の備品購入の申請は38.5%でした

同じ135人が見つけた費目では、接待交際費が53.3%で最も多くありました。なお、この調査を出した会社は不正な経費を見つける製品を売っています。数字は、売り手の調査として読んでください。

海外の集計もあります。公認不正検査士協会(ACFE)の2024年の報告書は、職場の不正1,921件を集めました。経費精算の不正は13%(248件)で、損失の中央値は5万ドルでした。

1件の金額が小さくても、気づくまで続くと積み上がります。金額の小ささは、見逃してよい理由になりません。

経理を外に出すか迷っている方へ

どこまで外に出せるかを、現状を伺って切り分けます

記帳・請求・支払・給与のうち、外に出せる範囲と社内に残す範囲を、無料の相談で整理します。当社は2023年4月から2026年9月までに、経理代行・記帳代行を48社で担当しました。

不正を疑う前に、仕訳の誤りと分ける

経費精算で見つかる食い違いの多くは誤りなので、不正と決める前に、同じ型のくり返しかを確かめてください。

当社が2023年4月から2026年9月までに経理代行で担当した7社で、実際に直した仕訳の誤りは年間約90件でした。

多い順に、外注費と給与の区分(約40件)、資産に計上すべき備品の消耗品処理(約25件)です。前払費用の計上漏れ(約15件)、源泉徴収の漏れ(約10件)が続きます。

建設業の会社3社の経理代行で、実際に直した仕訳の誤りは接待交際費の扱いでした。調査で不正の多かった費目と、誤りの多い費目は重なります。接待交際費の食い違いを見つけても、すぐ不正と決めないでください。

当社の判断では、次の3つのどれかに当たるときに、不正を疑う段階へ進みます。

  1. 同じ人が、同じ型の申請を3か月以上くり返している
  2. 領収書の金額や日付に、手で直した跡がある
  3. 勤怠や訪問の記録と、申請の日付が合わない

3つのどれにも当たらない食い違いは、まず誤りとして本人に直してもらってください。誤りを不正として問いただすと、正直に申請していた社員まで申請をためらいます。

経費精算の不正を見落とす会社の3つの共通点

経費精算の不正を見落とす会社には、承認が形だけ・領収書がそろわない・見る人が1人だけ、の3つが共通しています。

1つ目は、上長の承認が形だけになっている会社です。承認者が中身を見ずに通すと、経理は「承認済み」を理由に深く見ません。結果として、どちらも中身を確かめていない状態になります。

2つ目は、現金払いが多く、領収書がそろわない会社です。当社が2023年4月から2026年9月までに経理代行の依頼をお断りした・合わなかった例は7件でした。そのうち3件は、現金取引が中心で証憑がそろわないことが理由です。証憑が無いと、誤りか不正かを確かめる手がかりがありません。

3つ目は、経費精算を見る人が社内に1人しかいない会社です。その1人が休むと確認が止まり、その1人の申請は誰も見ません。

試算:仮に月の申請が200件あり、1件を1分で見るとすると、確認に月約3時間20分かかります。経理が1人の会社なら、この時間を毎月、本来の締めの作業と別に確保できるかを確かめてください。

不正が見つかったときの対応の順番

経費精算の不正が見つかったときは、本人に聞く前に証憑と記録を残し、返還と処分は事実が固まってから決めます。

不正が見つかったときの対応の順番: 証憑と記録を残す、本人に事実を聞く、返還と処分を決める、帳簿と申告を直す、仕組みを変える
不正が見つかったときの対応の順番

1. 証憑と記録を残す

申請データ・領収書・承認の記録を、書き換えられない形で写して残します。本人に聞く前に残すのが順番の要です。聞いた後では、データを消されても取り戻せません。

2. 本人に事実を聞く

1人で聞かず、2人で聞いて記録を取ります。責める言い方をせず、日付ごとに何に使ったかを聞いてください。

3. 返還と処分を決める

返還の額は、記録で確かめられた分に限ります。懲戒は就業規則に定めた範囲で行います。行為の性質に照らして重すぎる懲戒は、権利の濫用として無効になります(労働契約法第15条)。

当社は2026年11月に、2つのAI(ChatGPT・Gemini)へ本記事の論点5問を聞き、答え10件を数えました。10件の答えのうち、公的機関の資料にある「労働契約法」に触れたものは0件でした。

就業規則に経費の不正にあたる懲戒の定めが無い会社は、処分を急がないでください。社会保険労務士か弁護士に、規則の文面を見せてから決めるのが安全です。

4. 帳簿と申告を直す

当社の判断では、同じ事業年度のうちに見つかり、本人が返したなら、経理は精算の取り消しの仕訳を入れれば足ります。決算をまたいだ金額があるときや、当事者が役員のときは、税理士に金額と期間を伝えてください。役員の分は役員給与として扱われる場合があり、税額が変わるためです。

同じ調べでは、10件の答えのうち、国税庁の資料にある「電子帳簿保存法」に触れたものは1件でした。AIの答えだけで税の扱いを決めず、上の条件で自分で決めるか税理士に聞くかを分けてください。

スキャナ保存や電子取引のデータを改ざんして申告漏れが生じると、重加算税が10%加重されます。令和4年1月から始まった措置です(国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」)。

5. 仕組みを変える

最後に、同じ手口が通らないように仕組みを変えます。処分だけで終えると、別の社員が同じ穴を使います。

経費精算の不正対応でよくある失敗と避け方

経費精算の不正対応で多い失敗は、記録を残す前に問いただす・全員を疑う・処分だけで終える、の3つです。

証憑を残す前に本人を呼ばない
本人に先に聞くと、データの削除や領収書の差し替えで、確かめる材料がなくなります。疑いの段階で本人を呼ぶのはNGです。
失敗 起きること 原因 避け方
記録を残す前に問いただす データの削除や差し替え 怒りが先に立つ 写しを取ってから聞く
全員の申請を疑って見直す 正直な社員が申請をためらう 誤りと不正を分けていない 同じ型のくり返しから見る
処分だけで終える 別の社員が同じ穴を使う 手口の通り道を調べていない 手口ごとに仕組みを1つ変える

3つの失敗に共通する原因は、手口と通り道を確かめる前に、人を責めることです。対応の順番を社内で1枚に書いておくと、見つけた日に慌てずに済みます。

経費精算の不正を防ぐ仕組みと、防げる手口

経費精算の不正を防ぐ仕組みは、承認ルートの固定・クラウド精算・外部のチェックの3つで、防げる手口がそれぞれ違います。

不正を防ぐ仕組み3つの比べ方: 承認ルートの固定は自分での承認を防ぎ申請が月に数件の会社向き、クラウド精算は二重申請と経路の水増しを防ぎカード払いが多い会社向き、外部のチェックは私的な飲食の混入を防ぎ経理が1人の会社向き
不正を防ぐ仕組み3つの比べ方
仕組み 防げる手口 向く会社 向かない会社
承認ルートの固定 自分での承認 申請が月に数件 承認者が1人だけ
クラウド精算 二重申請と経路の水増し カード払いが多い 現金払いが中心
外部のチェック 私的な飲食の混入 経理が1人 領収書がそろわない

承認ルートの固定は、金額に関係なく自分の申請を自分で承認できない形にすることです。費用がかからず、今日から決められます。規程の作り方は経費精算のルールを作る5ステップにまとめています。

クラウド精算は、交通系ICの履歴やカードの明細を取り込み、同じ領収書の二重申請や経路の水増しを見つけやすくします。当社が2023年4月から2026年9月までに紙・Excelの経費精算をクラウド経費精算に切り替えた12社がありました。1社あたり月8〜15時間の手間が減り、締め作業が約3日短くなりました。選び方は経費精算システムの選び方の4つの軸で比べています。

外部のチェックは、社内の人間関係の外にいる担当者が、同席者や日付の不自然さを見る仕組みです。私的な飲食の混入のように、システムでは分からない手口に効きます。

当社は2023年4月から2026年9月までに、請求書の受け取り・支払処理の代行を25社で担当しました。1社あたり月20〜150枚、全体で月約1,800枚を扱っています。証憑を1枚ずつ照らす作業は、件数が増えるほど社内の片手間では続きません。

社内で確かめるか、外の目を入れるかの分かれ道

経費精算の確認を社内で続けるか外に出すかは、見る人の数と、領収書がそろっているかで決まります。

  • 経理が2人以上いて、互いの申請を見られる会社なら、承認ルートの固定とクラウド精算で足ります
  • 経理が1人で、その人の申請を誰も見ていない会社なら、外部のチェックを入れてください
  • 社長や役員の経費を誰も止められない会社も、外の目が向いています

上の3つのうち2つ以上に当てはまるなら、クラウド精算より外部のチェックを先に入れてください。システムを入れても、見る人が1人のままでは私的な飲食の混入が残るためです。

反対に、次の会社は外にチェックを頼む前に、社内でやることがあります。

  • 現金払いが中心で、領収書がそろわない会社は、外に出しても照らす証憑がありません。先にカード払いへ寄せてください
  • 決算の直前に、1年分の精算をまとめて見てほしい会社も、今回は見送ってください。期限までに不正と誤りを分けきれません

経費精算のチェックを外に出すと、社内には経費として認める最終の承認と、ルールの見直しが残ります。任せられる業務の範囲は経費精算BPOで任せられる業務3つで紹介しています。

外に頼む先を探すときは、公式サイトで任せられる範囲を確かめてください。当社は2026年10月に、2つのAI(ChatGPT・Claude)へ経理代行・記帳代行に関する質問を50問聞き、答えの出典668件を種類ごとに数えました。経理代行会社を探す質問では、出典の28.8%が比較・紹介サイト、56.1%が経理代行会社の公式サイトでした(業種調査)。

まず、直近3か月の申請を申請者ごとに並べ、同じ型のくり返しがあるかを確かめてください。数えた結果をお持ちいただければ、どこまで外に出せるかを一緒に整理できます。

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よくある質問

経費精算の不正で最も多い手口は何ですか?

交通費や通勤手当の水増しです。不正・不備を見つけた経理担当者135人のうち51.1%が挙げました(ChillStack、2024年)。

申請の誤りと不正は、どう見分ければよいですか?

同じ人が同じ型の申請を何度もしているかを見ます。1回きりで説明がつくものは、まず誤りとして直してください。

不正の疑いがあるとき、最初に何をすればよいですか?

本人に聞く前に、申請データ・領収書・承認の記録を消えない形で写しておいてください。聞いた後では残りません。

経費精算のチェックだけを外に頼めますか?

頼めます。領収書と申請の照合を外の担当者が行い、経費として認める最終の承認は自社に残す形が一般的です。

外にチェックを頼んでも防げないのはどんな場合ですか?

現金払いが中心で領収書がそろわない場合です。照らし合わせる証憑が無いと、外の担当者も不正を見つけられません。

社長や役員の経費に私的な支出が混じっていたら、どうしますか?

役員の分は役員給与として扱われる場合があり、税額が変わります。決算の前に税理士へ金額と期間を伝えてください。

まとめ: 不正を責める前に、手口が通る穴をふさぐ

経費精算の不正は6つの手口に分かれ、手口ごとに跡が残る場所が違います。食い違いを見つけたら、まず誤りと分けてください。同じ型のくり返しや書き換えの跡があるときだけ、証憑を残してから本人に聞きます。

処分で終えず、承認ルートの固定・クラウド精算・外部のチェックのどれかで穴をふさぐことが再発を止めます。経理が1人の会社は、外部のチェックから検討してください。経理の人手の足りなさそのものを見直すときは、経理BPOのメリットと費用相場も参考になります。

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