税理士に記帳代行を依頼する場合の報酬相場は、仕訳件数に応じて月6,000円〜40,000円が目安です。 多くの事務所では記帳代行だけの単発依頼は受けておらず、顧問契約とセットになるため、決算料まで含めると年間の総額が変わってきます。本記事では、仕訳件数別の報酬相場、税理士事務所と経理BPO専門会社の料金比較、報酬額を左右する4つの要因、依頼先を比較する3ステップを2026年9月時点の情報で整理します。
この記事は、税理士への記帳代行依頼を検討していて報酬相場が分からず、経理BPOとの違いも比較したい中小企業の経営者・管理部門責任者向けです。
※ 2026年9月時点の情報です。
この記事でわかること
税理士の記帳代行報酬相場(仕訳件数別) 記帳代行だけを依頼できるかどうか 税理士事務所と経理BPO専門会社の料金比較 報酬額を左右する4つの要因と依頼先の比較方法
税理士の記帳代行報酬相場はいくらか
税理士の記帳代行報酬は、仕訳件数に応じて月6,000円〜40,000円が目安です。 個人事業主か法人か、仕訳数がどれくらいかによって、同じ「記帳代行」でも金額の幅は大きくなります。
記帳代行とは 、日々の取引を仕訳し、帳簿や試算表を作成する業務を、税理士事務所や経理代行会社に外部委託することです。依頼先によって料金体系も対応範囲も変わります。
大阪の税理士事務所が公開する記帳代行の料金相場 によると、仕訳数が月100件以内の個人事業主なら月6,000円〜10,000円、仕訳数が多い法人では月20,000円以上 が目安とされています。顧問契約込みの総額では、月6,000円〜40,000円程度に収まるケースが多いようです。
私たちが中小企業の経理相談を受ける中でも、「税理士に記帳まで頼むといくらになるのか分からない」という質問 を受けることが少なくありません。仕訳件数を数えずに相談すると、見積もり金額の妥当性を判断しづらくなります。
まずは自社の月間仕訳件数を数えるところから始めると、相場のどのあたりに位置するかが見えてきます。依頼先別の料金の違いは記帳代行の費用相場|依頼先別の料金と抑える4つのコツ でも詳しく整理しています。
記帳代行だけの依頼はできるか
税理士に記帳代行だけを依頼するのは難しく、原則として顧問契約が前提になります。 単発の記帳代行だけを受託する事務所は多くありません。
弥生が公開する記帳代行の料金相場 では、税理士事務所に依頼する場合は顧問契約が前提となり、法人で月4万円程度から、個人事業主で月3万円程度から が目安とされています。税理士は決算・確定申告という独占業務を担う専門家であり、記帳だけを単発で受ける動機が小さいことが背景にあります。
顧問契約を結びたくない、記帳だけをまず外部に任せたいという場合は、税理士事務所ではなく記帳代行専門の経理BPO会社を選ぶのも一つの方法です。経理BPOの基本的な範囲や費用感は経理BPOとは?メリット3つと費用相場をわかりやすく解説 で解説しています。
顧問契約の有無は、報酬額だけでなく依頼できる業務範囲そのものを左右する分岐点 になります。決算対応まで見据えるかどうかを、依頼前に決めておくことが欠かせません。
税理士事務所と経理BPO専門会社の料金比較
税理士事務所は決算まで一括対応できますが、記帳だけなら経理BPO専門会社のほうが低コストになりやすいです。 同じ「記帳代行」という言葉でも、依頼先によって対応範囲と価格帯は異なります。
依頼先
記帳代行の目安費用
決算・確定申告
顧問契約の必要性
税理士事務所
月20,000円〜40,000円程度(顧問契約込み)
対応可(別途決算料)
原則必要
経理BPO専門会社
月5,000円〜35,000円程度(仕訳件数による)
対応不可(税理士への別依頼が必要)
不要な会社が多い
経理代行大手のCASTER BIZ accounting社は「記帳代行の相場と料金体系」 を公開しています。この資料によると、月50件までの仕訳なら5,000円〜1万円、200件では2万〜3万5,000円 が経理BPO専門会社の目安です。株式会社Wheatが公開する「経理代行の費用相場」 データでは、記帳に加えて経理業務全般を委託する場合は月10万〜30万円 が中小企業の標準的な水準とされています。
税理士事務所の報酬には、記帳から決算・確定申告まで一気通貫で任せられる安心感が含まれています。一方の経理BPO専門会社は、記帳・請求書処理・給与計算といった業務を切り分けて依頼できる点が強みです。どちらが安いかではなく、どこまでを外部に任せたいかで選び方が変わる と考えると、比較の軸が定まりやすくなります。
決算対応をどこでするかを決めていないまま経理BPOだけを契約すると、確定申告の時期に依頼先を探し直すことになります。記帳と決算をどこまで一体で頼むかを、最初に決めておく ことが後悔しない選び方です。経理の内製と外注のどちらが自社に合うかは、経理の内製と外注を比較|6つの軸で見る違いと選び方 でも整理しています。
顧問料・決算料を含めた年間費用の目安
顧問料と決算料を合わせた年間費用は、法人で20万円〜80万円程度が目安になります。 月々の記帳代行費用だけを見ていると、決算期に想定外の出費と感じることがあります。
前述の税理士事務所の料金相場 では、顧問報酬と決算報酬の合計が年間20〜80万円ほどとされています。決算料は月々の顧問料とは別に、年1回まとめて請求される点に注意が必要です。
顧問料そのものの水準は、業界的にはやや下がる傾向があるようです。日本税理士会連合会の税理士実態調査を分析したジャスネットキャリアの分析記事 によると、月額顧問料が1万円超3万円以下の割合が増える一方、3万円超5万円以下の割合は下がっている と指摘されています。中小企業向けの標準的な顧問料帯が、じわりと下方にシフトしているとみられます。
年間費用を見積もる際は、月額の記帳代行費用だけでなく、決算料が別料金かどうかを契約前に必ず確認してください。決算料は事務所によって「固定額」と「顧問料の◯か月分」という2つの決め方があり、後者の場合は顧問料が上がると決算料も連動して上がります。年間コストの全体像がつかめると、経理BPOへの切り替えとの比較もしやすくなります。
年商規模ごとの目安をつくっておくと、見積もりの妥当性を判断しやすくなります。年商1,000万円前後の個人事業主であれば、顧問料と決算料を合わせて年間20万円台に収まることが多く、年商が上がり仕訳件数や従業員数が増えるほど、この年間費用も比例して大きくなっていきます。
月次決算のスピードを上げたい場合は、月次決算の早期化とは?中小企業ができる5つの方法 も参考になります。
報酬額を左右する4つの要因
税理士の記帳代行報酬は、仕訳件数・顧問契約の有無・決算対応の有無・事務所の所在地の4つで変わります。 同じ業種・規模でも、この4条件が違えば見積もり額は大きく変動します。
税理士の記帳代行報酬を左右する4つの要因
仕訳・伝票の件数は最も直接的な要因です。月間の取引数が多いほど確認作業が増え、報酬も比例して上がります。顧問契約の有無も大きく影響し、顧問契約を結ばずに記帳だけを頼める事務所は少数派 です。
決算・確定申告への対応が必要かどうかも、年間費用を大きく左右します。決算料は月々の顧問料とは別枠で、年1回まとめて発生する費用として見積もりに含める必要があります。事務所の所在地・規模については、都市部の事務所は地方より1〜2割高い傾向 があるとされ、同じ業務量でも立地によって単価差が出ます。
この4つの要因は互いに関係し合っています。仕訳件数が増えれば決算業務の負担も増え、結果として顧問料自体も高い帯を提示されやすくなります。見積もりを受け取る前に、自社がどの要因でどのくらい重くなりそうかを整理しておくと、提示額の妥当性を判断しやすくなります。
業種による違いも見落とせません。飲食店のように現金取引や在庫の動きが多い業種は、同じ売上規模の会社と比べて仕訳件数が膨らみやすく、報酬も高めに提示される傾向があります。逆に、取引先が限られるBtoBの受託業務中心の会社は、仕訳件数が少なく済み、報酬も抑えられる傾向があります。
依頼先を比較する3ステップ
依頼先を比較する際は、業務量を数値化し、同条件で見積もりを取ることが欠かせません。 金額の見た目だけで判断すると、対応範囲の違いに後から気づくことになります。
依頼先を比較する3ステップ
第一に、自社の仕訳件数と対応範囲を洗い出します。月間の仕訳数、請求書の発行枚数、決算対応の要否を数値と項目で整理しておくと、見積もりの精度が上がります。
第二に、税理士事務所と経理BPO専門会社の両方に、同じ条件で見積もりを依頼します。依頼先によって記帳代行に含まれる業務範囲が違う ため、条件をそろえないまま比較すると、安く見えた側が実は範囲外の業務ばかりということも起こります。
第三に、決算対応の有無と追加費用の条件を確認します。決算料が別料金かどうか、仕訳数が想定を超えた場合の従量費用がいくらかまで質問しておくと、契約後の想定外の出費を防げます。比較の最終的な決め手は、金額の大小ではなく対応範囲との整合性。何から手をつければよいか迷う場合は、まず自社の仕訳件数を数えるところから始めてください。
報酬確認でやってはいけないNG対応
報酬の安さだけで依頼先を決めると、対応範囲の狭さや追加費用で後悔することがあります。 見積もり金額の数字だけを比べるのは、失敗しやすい確認方法です。
報酬確認でのNGとOK
注意: 見積もりの金額だけで判断しない 決算料が別料金かどうか、仕訳数が上限を超えた場合の従量費用、顧問契約の解約条件は、月額費用とは別に確認すべき項目です。これらを契約前に確認しないと、想定より高い請求を受け取ることになります。
私も相談の現場で、月額費用の安さだけを理由に契約し、決算期になって初めて決算料が別料金だと知った という経営者の話を聞いたことがあります。決算対応の有無を確認しないまま契約するのは、典型的なNG対応です。
見積もりを1社だけで決めるのも避けたい進め方です。最低でも2〜3社から同条件で見積もりを取り、対応範囲・実績・追加費用の条件まで含めて比較すると、報酬の妥当性を判断しやすくなります。
比較の軸を具体的に知りたい場合は経理代行の選び方5選|比較軸と契約前チェックリスト も参考にしてください。自社の仕訳件数ならどの程度の費用感になるか分からない場合は、経理BPOの無料相談で概算を確認することもできます。
どこから手をつけるべきかの整理は、経理の現状分析(無料) からご相談いただけます。ご契約を前提としたご案内ではありません。
よくある質問
税理士の記帳代行報酬の相場はいくらですか? 仕訳件数に応じて月6,000円〜40,000円が目安で、顧問契約込みなら法人で月4万円程度からです。
記帳代行だけを税理士に依頼することはできますか? 原則として難しく、多くの税理士事務所では顧問契約を結ぶことが前提になります。
経理BPO専門会社と税理士、記帳代行はどちらが安いですか? 記帳のみなら経理BPO専門会社のほうが割安な傾向があり、月5,000円台から依頼できます。
顧問料と決算料を含めた年間費用はどのくらいですか? 法人の場合、顧問料と決算料を合わせて年間20万円〜80万円程度が目安です。
税理士の顧問料は近年下がっていますか? 業界調査では、月額1万円超3万円以下の低価格帯の割合が増える傾向が指摘されています。
記帳代行の依頼先を比較する際に確認すべき点は何ですか? 仕訳件数と対応範囲を数値化し、同条件で複数社から見積もりを取ることが欠かせません。
まとめ: 報酬は「対応範囲と年間費用」で比較する
税理士の記帳代行報酬は仕訳件数で数倍変わり、顧問契約や決算料の有無まで含めた年間費用で比較しないと、依頼先の妥当性は判断できません。 記帳だけを低コストで任せたいなら経理BPO専門会社、決算まで一括で任せたいなら税理士事務所というように、対応範囲から逆算して選ぶことが失敗しない近道です。
当社は補助金を使った会計ソフト・受発注ソフトの導入支援を手がけており、中小企業が経理業務のどこでつまずくかを申請の現場で見てきました。見えてくるのは、金額の安さよりも対応範囲の見極めを軽視した契約でのつまずき。自社の仕訳件数ではどのくらいの費用感になるか分からない場合は、まず月間の仕訳件数を数えるところから始めてください。