記帳代行の費用相場は、個人事業主で月6,000円〜1万円、法人では月2万円以上が目安です。依頼先が税理士か専門会社かでも、料金の決まり方は大きく変わります。本記事では、依頼先別の費用相場、料金体系の仕組み、事業形態別の目安、費用を左右する4つの要因、自分で記帳する場合との比較、費用を抑えるコツまで解説します。
この記事は、記帳代行の依頼を検討しているが費用感がつかめない個人事業主・中小企業の経営者向けです。
※ 2026年8月時点の情報です。
この記事でわかること
- 依頼先別(税理士・専門会社・フリーランス)の費用相場
- 記帳代行の料金が決まる仕組み
- 事業形態別の費用の目安
- 費用を抑える4つのコツと選び方の注意点
記帳代行の費用相場|依頼先の種類で比較
記帳代行の費用は、税理士・記帳代行専門会社・フリーランスのどれに頼むかで大きく変わります。
近い論点を経理の時給相場と直接雇用の決め方で扱っています。
費用の目安については、経理外注の費用相場|依頼先4タイプの料金にまとめています。
記帳代行とは、日々の取引を帳簿に記録する仕訳入力の作業を、外部の専門家や会社に委託することです。経理業務全体ではなく、記帳部分に絞った委託が中心です。
依頼先ごとの料金相場を比較すると、下表のような差があります。仕訳数が同じでも、依頼先によって数倍の開きが出ることも珍しくありません。
| 依頼先 |
料金相場 |
特徴 |
| 税理士事務所 |
月6,000円〜4万円 |
顧問契約とセットのことが多い |
| 記帳代行専門会社 |
1仕訳あたり約100円 |
記帳のみに特化し柔軟に依頼できる |
| フリーランス記帳代行者 |
1仕訳あたり約60円 |
個人契約のためコストが低め |
| クラウド対応の記帳代行サービス |
月額1,100円〜 |
freee等と連携し低価格帯 |
大阪の会計事務所が公開する「記帳代行の費用相場」によると、税理士への記帳代行費用は月6,000円〜4万円が目安とされています。フリーランスの記帳代行者は1仕訳あたり約60円、記帳代行専門会社は約100円という水準です。
クラウド会計freeeに対応した記帳代行サービスを比較したKANBEIの記事では、「記帳業務を丸投げできるプラン」が月額1,100円から用意されている例が紹介されています。低価格帯のサービスほど、対応範囲が限定されている点には注意が必要です。
依頼先を選ぶときは、料金の安さだけでなく対応スピードも確認しておきたいポイントです。月次で試算表を早く受け取りたい場合、返却までの標準日数を事前に聞いておくと、決算や資金繰りの判断が遅れずに済みます。
対応言語や連絡手段も比較の観点になります。チャットやクラウドツールでのやり取りに対応しているか、電話や訪問が必要かによって、日々のコミュニケーションにかかる負担は変わってきます。
記帳代行の料金体系の仕組み
記帳代行の料金は、月額固定制か仕訳件数に応じた従量制のどちらかで決まる仕組みです。
関連する内容として経理外注は個人(フリーランス)でも可能?も公開しています。
関連する内容として個人店の経理のやり方も公開しています。
当社は補助金を使った会計ソフトの導入支援を手がけています。記帳代行を検討する会社からは、「安いところに頼んだら結局こちらで確認する手間が増えた」という相談を受けます。
月額固定制は、毎月の仕訳数が一定範囲であれば料金が変わらない仕組み。繁忙期と閑散期の差が小さい事業者に向いています。
従量制は、仕訳1件あたりの単価に取引件数を掛けて料金が決まります。取引が多い月は費用が上がり、少ない月は下がる仕組みです。
税理士ドットコムが公開する「記帳代行の費用相場」では、月間仕訳数100件以内で月1万円、301〜400件で月2万5,000円という基本料金+従量の目安が示されています。従量のみの契約では、1仕訳あたり50円〜100円という設定が一般的とされています。
| 月間仕訳数 |
月額料金の目安 |
| 100仕訳以内 |
1万円 |
| 101〜200仕訳 |
1万5,000円 |
| 201〜300仕訳 |
2万円 |
| 301〜400仕訳 |
2万5,000円 |
| 401仕訳以上 |
3万円〜 |
情報源によって数字に幅があるのは、税理士の顧問契約に含める場合と、記帳代行単体で契約する場合とで料金の算定基準が異なるためです。見積もりを比較するときは、どちらの算定基準かを依頼先に確認してください。
税理士の顧問契約では、記帳代行の料金に加えて顧問報酬・決算報酬が別途必要になることが一般的です。前述の大阪の会計事務所の記事でも、税理士の顧問報酬と決算報酬は年間20万〜80万円ほどかかるとされています。
記帳代行専門会社やフリーランスに依頼する場合は、顧問契約を結ばず記帳だけを切り出せることが多く、その分だけ料金を抑えやすい傾向があります。経理BPO全体の仕組みについては、経理BPOとは?メリット3つと費用相場をわかりやすく解説でも整理しています。
契約期間の縛りにも注意してください。年間契約のほうが月額単価は安くなりやすい一方、途中解約時に違約金が発生する会社もあります。まずは3か月〜半年の短期契約で相性を確認し、問題がなければ年間契約に切り替える進め方も選択肢の一つです。初期費用の有無も、契約前に確認しておくと想定外の出費を防げます。
事業形態別に見る記帳代行の費用相場
記帳代行の費用は、個人事業主より仕訳数の多い法人のほうが高くなる傾向があります。
近い論点を個人事業主の帳簿の付け方で扱っています。
大阪の会計事務所の調査データでは、仕訳数が月100件以内の個人事業主なら月6,000円〜1万円、仕訳数が多い法人では月2万円以上かかるケースがあるとされています。
| 事業形態 |
仕訳数の目安 |
費用相場 |
| 個人事業主(白色・青色) |
月100件以内 |
月6,000円〜1万円 |
| 小規模法人 |
月100〜300件 |
月1万〜2万円 |
| 中規模法人 |
月300件以上 |
月2万円以上 |
事業を始めたばかりで取引が少ない個人事業主は、低価格帯のサービスでも十分対応できることが多いです。一方、従業員を雇い始めた法人は仕訳数が急に増え、料金プランの見直しが必要になる場合があります。
給与計算まで依頼する場合は、記帳のみの料金に加えて従業員数に応じた費用が加算されます。記帳代行の見積もりを取るときは、給与計算を含むかどうかを分けて確認してください。含める・含めないで総額が数万円単位で変わることがあります。
自社が委託すべきか迷う場合は、経理外注の判断基準5つ|自社に向いているかのチェックリストのチェック項目で確認してみてください。
個人事業主の中でも、白色申告と青色申告(65万円控除)では必要な帳簿の精度が異なります。青色申告のほうが複式簿記での記帳が求められるため、同じ取引件数でも記帳代行の作業量がやや増える傾向があります。申告方式を依頼先に伝えておくと、見積もりのずれを防げます。
記帳代行の費用を左右する4つの要因
記帳代行の費用は、取引件数・現金比率・証憑の状態・業種の複雑さの4つで変わります。
あわせて飲食店の経理のやり方もご覧ください。
記帳代行の費用を左右する4つの要因
仕訳・取引件数は、費用に最も直結する要因。取引が多いほど確認作業が増え、料金も比例して上がります。
現金取引の比率も見落とせません。現金払いはレシートの整理・突合作業が発生し、キャッシュレス決済だけの取引より手間がかかります。
証憑のデータ化状況は、費用を左右する意外な要因。紙の領収書をスキャンして渡すだけの状態と、会計ソフトに自動連携済みの状態とでは、確認の手間が大きく違います。
業種特有の仕訳の複雑さも影響します。飲食店の売上管理や在庫評価が絡む業種は、単純な取引だけの業種より単価が高くなりやすい傾向があります。
複数の口座やクレジットカードを併用している場合も、確認作業が増える要因になります。口座・カードの数が多いほど、取引データの突合に時間がかかり、料金に反映されやすくなります。依頼前に自社が使っている決済手段の数を数えておくと、見積もりの精度が上がります。
海外送金や外貨建て取引がある事業者も、為替換算の確認作業が加わる分だけ料金が上がる傾向があります。取引の種類が特殊な場合は、見積もり時点で具体例を伝えておくと、契約後の想定外の請求を防げます。
自分で記帳する場合との費用比較
仕訳件数が少ないうちは自分で記帳し、増えてきたら記帳代行に切り替えるのが目安です。
関連する内容として税理士の記帳代行報酬相場と経理BPO比較も公開しています。
自分でクラウド会計ソフトに入力する場合、ソフトの月額利用料は数千円程度で済みます。ただし、入力作業にかかる自分の時間はコストとして表れません。
月50件の仕訳入力に1件あたり2分かかるとすると、月あたり約1時間40分の作業時間になります。経営者の時給換算額が記帳代行の料金を上回るなら、外注したほうが総コストは下がる計算です。
仕訳の自動化を進めれば、自分で記帳する場合の負担も軽減できます。詳しい方法は仕訳の自動化方法とは?中小企業ができる4つのステップで解説しています。自動化と記帳代行は、どちらか一方ではなく組み合わせて使う選択肢もあります。
私たちが中小企業のバックオフィス支援をする中でも、「最初は自分でやっていたが、取引が増えて限界を感じた」という相談を受けることがよくあります。
記帳代行の費用を抑える4つのコツ
記帳代行の費用は、証憑のデータ化と依頼範囲の絞り込みという2つの工夫で抑えられます。
近い論点を管理会計まで頼む経理BPOの料金|範囲別の増え方で扱っています。
記帳代行の依頼先を決める3ステップ
第一に、領収書やレシートを早めにスキャンしてデータ化します。紙のまま渡すより確認の手間が減り、料金が下がる会社もあります。AI-OCRを使った記帳代行の自動化と組み合わせれば、このデータ化の工程自体をさらに省力化できます。
第二に、依頼範囲を必要な部分だけに絞ります。記帳のみに絞れば、経理業務全般を任せるより料金を抑えられます。
第三に、月額固定制と従量制のどちらが自社に合うか比較します。取引量が安定しているなら固定制、変動が大きいなら従量制が有利です。
第四に、複数社から同じ条件で見積もりを取ります。同じ仕訳数を伝えたうえで比較すると、料金差の理由が見えやすくなります。
繁忙期だけスポットで依頼する方法も、費用を抑える手段の一つです。決算期や年末調整の時期だけ外部に任せ、通常月は自社で対応する形にすれば、年間の総費用を月額固定より抑えられることがあります。委託範囲や料金に不安がある場合は、経理BPOの無料相談で概算を確認することもできます。
記帳代行選びで注意したい3つの落とし穴
記帳代行は、安さだけで選ぶと追加費用や対応範囲の食い違いが後から起きやすくなります。
関連して、個人経営の経理のやり方|後回しにしない3つのコツもあわせてご確認ください。
記帳代行選びのNGとOK
注意: 仕訳数の上限を確認せず契約しない
月額固定プランには仕訳数の上限が設定されていることが多く、超過分は従量課金になります。上限と超過単価を事前に確認しないと、繁忙月に想定外の請求が発生します。
1つ目の落とし穴は、料金の安さだけで決めることです。極端に安いプランは対応範囲が記帳のみに限定され、確認作業やチェックが省かれていることがあります。
2つ目は、対応範囲を書面で確認しないことです。記帳のみか、請求書処理まで含むのか、契約前に文書で確認しておくと後の食い違いを防げます。
3つ目は、見積もりを1社だけで決めることです。最低でも2〜3社から見積もりを取り、料金体系と対応範囲をそろえて比較することをおすすめします。
インボイス制度の対応で確認項目が増えた事業者も多く、インボイス経理の負担を軽減する6つの方法もあわせて確認しておくと、記帳代行の依頼範囲を決めやすくなります。
私も過去に、料金の安さだけで依頼先を決めた経営者から「思っていた範囲まで対応してもらえなかった」という相談を受けたことがあります。契約前に情報管理の体制やデータの取り扱いルールまで確認しておくと、こうした食い違いを避けやすくなります。
どこから手をつけるべきかの整理は、経理の現状分析(無料)からご相談いただけます。ご契約を前提としたご案内ではありません。
よくある質問
記帳代行の費用相場はどのくらいですか?
個人事業主は月6,000円〜1万円、法人は仕訳数が多いと月2万円以上が目安です。
税理士と記帳代行専門会社では料金はどう違いますか?
税理士は月6,000〜4万円が相場で、専門会社は仕訳数に応じた従量制が中心です。
記帳代行は1仕訳あたりいくらですか?
フリーランスで約60円、記帳代行専門会社で約100円が目安とされています。
記帳代行と自分で記帳するのはどちらが安いですか?
仕訳件数が少ないうちは自分で、件数が増えたら記帳代行が割安になります。
記帳代行の費用を抑えるにはどうすればいいですか?
証憑を早めにデータ化し、依頼範囲を絞って複数社を比較すると抑えられます。
記帳代行を安さだけで選ぶとどんなリスクがありますか?
仕訳数の上限を超えた追加費用が発生し、結果的に割高になることがあります。
まとめ: 記帳代行の費用は「依頼範囲をそろえて比較する」ことで見える
記帳代行の費用は、依頼先の種類・仕訳件数・証憑のデータ化状況によって数倍変わります。金額の安さだけで判断せず、対応範囲をそろえたうえで複数社を比較することが失敗しない選び方です。
自社の仕訳件数ではどのくらいの費用感になるか分からない場合は、経理BPOの無料相談で概算を確認することもできます。まずは月間の仕訳件数を数えるところから始めてください。
月次決算のスピードを上げたい場合は、記帳代行と合わせて社内の締め日ルールを見直すことも効果的です。月次決算の早期化とは?中小企業ができる5つの方法もあわせて確認すると、依頼後の運用がスムーズになります。