コーポレートとバックオフィスは、ほぼ同じ部門を指す呼び方です。違いは指す範囲にあります。コーポレートは経営企画・法務・広報まで含めた本社機能全体を指すことが多い言葉です。バックオフィスは、経理・総務など営業を後ろで支える事務処理の側を指して使われます。中小企業では同じ担当者が両方を兼ねているため、名前より仕事の中身で分けるほうが実務に役立ちます。
この記事は、求人や組織図で「コーポレート」「バックオフィス」のどちらを使うか迷っている、または管理部門の仕事を整理したい中小企業の経営者・管理部門の責任者向けです。
※ 2026年10月時点の情報です。
この記事でわかること- コーポレート・バックオフィス・管理部門・間接部門の指す範囲
- 会社の規模ごとの管理部門の持ち方
- 呼び方を取り違えたときに起きる失敗
- 外に任せられる仕事と社内に残す仕事
コーポレートとバックオフィスは何が違うのか
コーポレートは経営を支える本社機能全体、バックオフィスはその中の事務処理を指す傾向があります。
コーポレート部門とは、経理・人事・総務・法務・経営企画・広報など、顧客と直接接しない本社の機能をまとめた呼び方です。バックオフィスとは、営業などのフロントオフィスを後ろから支える事務の仕事や部門を指す言葉です。
2つの言葉は、辞書的にはほとんど区別されていません。リクルートダイレクトスカウトの解説は、人事・経理・法務・総務などの職種を「コーポレートスタッフ」と呼びます。そのうえで「バックオフィス」「間接部門」とも呼ばれると説明しています。
SOICO株式会社の解説も、管理部門は顧客と直接関わらないため「バックオフィス」とも呼ばれると書いています。
それでも使われ方には差があります。コーポレートは経営判断に近い仕事まで含めて語られることが多い言葉です。バックオフィスは、記帳や請求書発行など手順が決まった処理の文脈で使われがちです。
4つの呼び方はどこまでを指すか
社内でよく使う4つの呼び方は、指す範囲と使われる場面で見分けられます。
4つの呼び方が指す範囲
| 呼び方 |
主に指す範囲 |
よく使う場面 |
| コーポレート |
経営企画・法務まで含む本社機能 |
求人・組織図 |
| バックオフィス |
経理・総務などの事務処理 |
業務改善・外部委託 |
| 管理部門 |
両方をまとめた総称 |
社内の部署名 |
| 間接部門 |
売上を直接作らない部門全体 |
原価・予算の管理 |
表のとおり、4つは重なり合っていて、境目は会社ごとに違います。求人を出すなら、呼び方より「担当する業務」を箇条書きで示すほうが誤解を防げます。
金融機関で使う「ミドルオフィス」まで含めた区分は、ミドルオフィスとバックオフィスの違いで整理しています。
中小企業ではどう呼び分ければよいか
従業員30名ほどまでは、呼び方を決めるより担当者ごとの仕事の中身を書き出すほうが先です。
中小企業では、経理担当者が総務も見て、社長が経営企画を兼ねている形がふつうです。この段階で「コーポレート部」と名付けても、仕事の中身は変わりません。
当社は補助金を使った会計ソフト・受発注ソフトの導入支援を手がけ、申請の現場で中小企業の経理の分担を見てきました。よく見るのは、部署名は「管理部」でも、中身は経理担当1人の事務処理という形です。
判断の目安は次のとおりです。
- 社員が数名で、社長が経理も見ているなら、部署名は不要。担当の仕事を一覧にする
- 経理と総務に別の担当がいるなら、「管理部」か「バックオフィス」でまとめる
- 経営企画や法務の担当を置くなら、「コーポレート」の名で本社機能としてまとめる
会社の段階ごとに管理部門をどう持つか
管理部門は、事務処理の担当から始まり、会社が大きくなるにつれて経営企画や法務が足されていきます。
会社の段階ごとの持ち方
段階ごとの目安を、人数の区切りとあわせて示します。人数の区切りは考えるための目安で、統計や決まりではありません。
- 創業期: 社長と事務担当1人で回す。記帳と支払が中心
- 10〜30名: 経理と総務の担当を分ける。給与計算や社会保険の手続きが増える
- 30〜100名: 経営企画や法務の担当を足す。予算管理や契約書の確認が増える
- 上場準備: コーポレート本部としてまとめ、内部統制の体制を整える
段階が進むほど、事務処理の量と経営判断の仕事が同じ人に積み上がります。ここで事務処理だけを外に出せば、社内の担当者は判断の仕事に時間を回せます。
部門全体の見直しから始める場合は、バックオフィス業務改善の進め方が参考になります。
呼び方を取り違えたときに起きる失敗
最も多い失敗は、「コーポレート担当」として採った人に、事務処理を丸ごと任せてしまうことです。
起きることは、経営企画のつもりで採用した人が、記帳と支払処理に追われる事態です。月次の数字の締めも、予算の検討も、どちらも遅れます。
原因は、社内で「コーポレート」と「バックオフィス」の範囲を決めないまま求人を出したことです。呼び方だけで仕事の範囲を伝えるのはNGです。応募する側は、経営に近い仕事を想像して入社します。
避け方は、求人と組織図に業務を「処理」と「判断」に分けて書くことです。処理の量が多いなら、採用より先に外部委託で減らせないかを確かめてください。
外に任せられる仕事と社内に残す仕事
外に任せられるのはバックオフィスの処理で、コーポレートの判断は社内に残します。
記帳・請求書発行・支払データ作成・経費精算は、手順が決まっているため外部委託に向きます。支払の承認・予算の判断・契約の可否は、社内の担当者が持ちます。
当社が経理BPOを導入した10社の集計では、月次決算が締まるまでの日数が中央値で15日から7日に短くなりました(2024年4月〜2026年8月・10社の中央値。個社差は大きい)。
また、2023年1月から2026年8月までに契約した経理BPO10社のうち、2年以内に解約したのは1社です(継続率90%)。
当社は、処理を外に出し、判断を社内に残す分け方が長く続けやすいと考えています。
自社の状況によって、次のように分かれます。
- 処理に追われて承認が遅れているなら、処理だけを外に出す
- 処理は回っているが判断の担当がいないなら、外部委託より先に社内で担当を決める
- 経理以外の人事・総務もまとめて手放したいなら、複数部門を扱う委託先を探す
どの業務まで任せられるかは経理の外注は丸投げNG?で、複数部門の委託はバックオフィスBPOとは?で扱っています。
人手不足そのものの打ち手は管理部門の人手不足解決|5つの選択肢にまとめました。
まとめ: 名前より仕事の中身で分ける
コーポレートとバックオフィスは、ほぼ同じ部門を指します。コーポレートは経営企画や法務まで含めた本社機能、バックオフィスは事務処理の側を指すことが多い、という程度の差です。
中小企業では、部署名より「処理」と「判断」の分け方が先です。今日できる一歩は、管理部門の担当者ごとに1週間の仕事を書き出し、処理か判断かの印を付けることです。
よくある質問
コーポレートとバックオフィスは同じ意味ですか?
ほぼ同じ部門を指します。コーポレートは経営企画や法務まで含む本社機能、バックオフィスは事務処理側を指すことが多いです。
中小企業でもコーポレート部門を作るべきですか?
従業員30名ほどまでは部署名より担当の分け方が先です。経営企画や法務は、必要になった段階で足せば足ります。
バックオフィスの仕事はどこまで外に任せられますか?
記帳・請求書発行・支払データ作成・経費精算などの処理です。支払の承認や予算の判断は社内に残します。
外に任せると、どのくらいで変化が見えますか?
当社が経理BPOを導入した10社では、月次決算が締まるまでの日数が中央値で15日から7日になりました。
外部委託が向かないのはどんな会社ですか?
経理の手順が毎月変わる会社や、承認する人を社内に1人も置けない会社です。先に社内の分担を決めてください。
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