給与計算の外注費用は、従業員10名以下なら月5,000円〜2万円、30名規模なら月3万5,000円〜5万円が目安です。多くは「基本料金+人数分の単価」で決まります。
費用は依頼先の種類や給与体系の複雑さによって数倍変わるため、自社の条件を整理してから見積もりを比較することが失敗しない出発点になります。
本記事では、従業員規模別の費用シミュレーション、料金が決まる仕組み、社労士と給与計算代行会社の違いを解説します。自社処理との損益分岐点、スポット費用の実額、外注先選びのチェックポイント、よくある失敗まで取り上げます。
この記事は、給与計算の外注を検討しているが費用感がつかめず、社内処理との比較で迷っている中小企業の経営者・管理部門責任者向けです。
※ 2026年8月時点の情報です。
この記事でわかること
- 従業員規模別の費用シミュレーション
- 社労士と給与計算代行会社の違い
- 自社処理と比較した損益分岐点
- 外注先選びのチェックポイントとよくある失敗
給与計算の外注費用はいくら?従業員規模別シミュレーション
給与計算の外注費用は、従業員数が増えるほど総額は上がりますが、1人あたりの単価はむしろ下がっていきます。
給与計算アウトソーシングとは、勤怠データの集計から給与明細の作成、社会保険料・源泉徴収税の計算までを、外部の専門会社や社会保険労務士に委託する仕組みのことです。多くの会社が「基本料金+従業員1人あたりの単価」という料金体系を採用しています。
株式会社kubellパートナーが運営する「タクシタ」の給与計算アウトソーシング費用相場記事があります。この記事によると、従業員10〜30名では月1万5,000円〜5万円が目安とされています。1人あたり単価は1,000円〜1,500円という水準です。仕訳中心の記帳代行とは異なり、給与計算は従業員数に単価を掛け合わせる形で総額が決まる点が特徴です。
さかえ経営労務事務所が運営する「労務管理navi」の費用相場記事でも、近い水準が示されています。10人以下は月5,000円〜2万円、31〜50人は月3万5,000円〜5万円という目安です。2つの情報源で規模帯ごとの金額幅が近いことから、この価格帯は一時的な相場ではなく、業界で定着した水準と見てよさそうです。
| 従業員数 |
月額費用の目安 |
1人あたり単価の目安 |
| 〜10名 |
5,000円〜2万円 |
― |
| 11〜30名 |
2万円〜5万円 |
1,000円〜1,500円 |
| 31〜50名 |
3万5,000円〜5万円 |
800円〜1,200円 |
| 51名以上 |
5万2,000円〜 |
600円〜900円 |
日本社会保険労務士法人が運営する給与計算アウトソーシングの解説記事では、やや高めの水準も示されています。10〜50人規模で「給与計算のみなら月4万〜6万円、年末調整・住民税更新まで含めると月10万〜20万円」という目安です。会社ごとに依頼範囲の前提が異なるため、複数社の見積もりを同じ条件で比較することが欠かせません。
なぜ「基本料金+1人あたり単価」で決まるのか
給与計算の外注費用は、対象従業員数・給与体系の複雑さ・依頼する業務範囲・契約形態という4つの要因の掛け算で決まります。
給与計算の外注単価を左右する4つの要因
対象従業員数は費用に最も直結する要因です。1人あたり単価を人数分掛け合わせた金額に、基本料金が上乗せされる仕組みが一般的です。給与体系の複雑さも見逃せません。時給制・歩合給・複数の手当が混在する会社は、確認作業が増えるため単価が上がりやすくなります。
依頼する業務範囲の広さも費用を左右します。給与計算だけを依頼する場合と、社会保険手続きや年末調整まで含める場合とでは、月額費用が数万円単位で変わります。複数拠点で締め日や支給日が異なる会社は、拠点ごとに処理を分ける必要があり、その分だけ確認工数が増えます。
契約形態と繁忙期対応については、毎月定額で依頼するか、年末調整の時期だけ追加費用を払うかで、年間の総額が変わってきます。この4つの要因は互いに関連しており、依頼範囲を広げれば給与体系の複雑さへの対応工数も同時に増えるため、見積もり時には要因ごとの掛け算で総額を試算しておくと、契約後の金額のずれを防げます。
依頼先で変わる費用感:社労士と給与計算代行会社の違い
給与計算の外注は、社会保険労務士と給与計算代行専門会社のどちらに依頼するかで、費用の内訳と任せられる範囲が変わります。
関連する内容として記帳代行費用の勘定科目|外注費と支払手数料の使い分けも公開しています。
さかえ経営労務事務所によると、社会保険労務士に依頼する場合の基本料金は月1万円〜2万5,000円、単価は500円〜1,500円が相場です。タクシタの記事でも、給与計算代行専門会社の具体例が紹介されています。従業員20名までは基本料金2万7,000円、21〜40名では基本料金1万3,000円に加えて1人あたり600円という体系です。
| 依頼先 |
基本料金の目安 |
1人あたり単価の目安 |
| 社会保険労務士 |
1万円〜2万5,000円 |
500円〜1,500円 |
| 給与計算代行専門会社 |
1万3,000円〜2万7,000円 |
500円〜1,200円 |
社会保険労務士に依頼する場合は、給与計算に加えて社会保険の手続きや労務相談まで一体で任せられる点が特徴です。一方の給与計算代行専門会社は、給与計算そのものの処理スピードやシステム連携に強みを持つ会社が目立ちます。任せたい範囲が給与計算だけか、労務手続きまで含むかで、選ぶべき依頼先が変わります。経理BPOと合わせて委託範囲を検討する場合は、経理BPOとは?メリット3つと費用相場をわかりやすく解説も参考にしてください。
自社で担当者を雇う場合との損益分岐点
給与計算を自社で処理する場合、担当者の人件費に加えて、計算ミスの修正コストや繁忙期の残業代も見込んでおく必要があります。
自社処理には、給与計算ソフトの利用料も継続的にかかります。従業員規模に応じたプラン料金が毎月発生するうえ、法改正のたびにソフトのアップデートや操作方法の確認が必要になり、担当者の学習コストも見えない負担として積み重なります。社会保険料率や年末調整の様式が変わるたびに、自社で最新情報を追いかける手間も発生します。
当社は補助金を使った会計ソフト・受発注ソフトの導入支援を手がけています。給与計算を含む経理業務のどこで中小企業がつまずくかを、申請の現場で見てきました。繁忙期だけ残業で対応する体制は、担当者が退職した瞬間に業務が止まるリスクを抱えています。
私たちが中小企業のバックオフィス体制づくりを支援する中でも、相談を受けたことがあります。「給与計算の担当者が退職し、支給日の直前に引き継ぎが間に合わなかった」というケースです。給与計算の属人化は、決算期以上に支給日という明確な締切があるだけに、影響がより直接的。
社会保険料の追納や給与の再計算が発生すると、結果的に外注費用以上の手間とコストがかかることも少なくありません。損益分岐点は人数だけで一律には決まりませんが、担当者1人分の人件費・社会保険料・ソフト利用料の合計と、外注の月額費用を並べて比べると、自社の分岐点が見えてきます。
| 項目 |
自社処理(担当者1名) |
給与計算アウトソーシング |
| 固定費 |
給与+社会保険料(会社負担分) |
委託範囲に応じた月額費用 |
| ミス対応 |
修正・再計算を社内で負担 |
委託先の体制でカバーされる場合が多い |
| 属人化リスク |
担当者不在で業務が止まりやすい |
契約先の複数人体制でカバーされやすい |
属人化した給与計算業務のリスクは、経理の属人化解消への5ステップでも詳しく解説しています。自社の体制がどちらに近いか分からない場合は、経理BPOの無料相談で概算を確認することもできます。
年末調整・賞与計算にかかるスポット費用の実額
給与計算の外注では、月額費用に含まれない追加費用が繁忙期に発生し、想定より高くつくことがあります。
注意: 月額費用だけで判断しない
タクシタの記事によると、年末調整は1人あたり2,000円〜3,500円、住民税の年度更新は1人あたり500円〜800円、賞与計算は月次給与計算費用の0.5〜1か月分が別途発生することが一般的です。これらのスポット費用を契約前に確認しないと、繁忙期の請求額に驚くことになります。
初期導入費用も見落としやすい項目です。タクシタの記事では、月額料金の1〜3か月分、または5万円〜20万円程度が初期費用の目安として紹介されています。過去の給与データの移行や、勤怠システムとの連携設定にかかる費用です。
年末調整のスポット費用は、年末調整の効率化ポイント5つ|2026年の改正にどう備えるかで触れた繁忙期の負担とも重なります。毎年同じ時期に追加費用が発生するなら、年間契約に切り替えたほうが総額を抑えられることもあります。
外注先を決める前に確認したい5つのチェックポイント
給与計算の外注先は、費用の数字だけでなく、比較の進め方と契約前の確認項目までセットで検討すると失敗しにくくなります。
外注先を決める前に確認したい5つのチェックポイント
第一に、自社の給与体系を整理します。従業員数、時給制・月給制の内訳、手当の種類を数値化しておくと、見積もりの精度が大きく上がります。第二に、複数社に同じ条件で見積もりを依頼します。会社によって基本料金に含む業務範囲が異なるため、同じ従業員数・同じ給与体系を伝えたうえで比較することが欠かせません。
第三に、スポット費用の条件を確認します。年末調整や賞与計算が月額料金に含まれるのか、別料金なのかを見積もり段階で質問しておくと、契約後の想定外の出費を防げます。第四に、個人情報の管理体制を確認します。給与計算では従業員の個人情報を委託先に渡すため、情報管理体制が整っているかどうかは費用と同じくらい重要な判断材料です。
第五に、依頼範囲を書面で確認します。口頭説明だけで契約すると、想定していた業務が範囲外だったという食い違いが起こりやすくなります。給与計算代行への切り替えを迷っている場合は、経理外注の判断基準5つ|自社に向いているかのチェックリストも判断材料になります。
給与計算の外注でよくある失敗と対策
給与計算の外注先を選ぶ際、安さだけで決めたり、個人情報の管理体制を確認せずに契約したりすると、後から想定外のトラブルにつながります。
給与計算の外注でよくある失敗と対策
安さだけで委託先を選ぶのは、最も多い失敗パターンです。日本社会保険労務士法人も指摘するとおり、給与計算では従業員の個人情報を委託先に渡すため、情報管理体制が整っていない会社を選ぶと情報漏洩のリスクが残ります。個人情報の管理体制を確認せず契約するのも同様のリスクを抱えます。
支給日ギリギリに依頼内容を変更するのもよくある失敗です。締め日から支給日までの処理期間が短いと、確認漏れによる計算ミスが起こりやすくなります。支給日直前の依頼変更は、トラブルの典型例。締め日と支給日には余裕を持たせ、変更事項は早めに委託先へ共有することがミスを防ぐ近道です。
見積もりを1社だけで決めるのもリスクを高めます。管理体制・実績・追加費用の条件を含めて複数社を比較する姿勢が、結果として費用とリスクの見誤りを防ぎます。自社の従業員数なら費用感がどの程度になるか分からない場合は、経理BPOの無料相談で概算を確認することもできます。
どこから手をつけるべきかの整理は、経理の現状分析(無料)からご相談いただけます。ご契約を前提としたご案内ではありません。
よくある質問
給与計算の外注費用相場はどのくらいですか?
従業員10名以下で月5,000円〜2万円、30名規模で月3万5,000円〜5万円が目安です。
従業員1人あたりの月額単価はいくらですか?
委託先や規模によって500円〜1,500円程度で、人数が多いほど単価は下がる傾向です。
初期費用はどのくらいかかりますか?
月額料金の1〜3か月分、または5万円〜20万円程度が相場とされています。
年末調整など繁忙期の追加費用はいくらですか?
年末調整は1人あたり2,000円〜3,500円程度が別途発生することが一般的です。
社労士と給与計算代行会社、どちらに依頼すべきですか?
社会保険手続きまで任せるなら社労士、給与計算のみなら専門会社が向いています。
給与計算を外注するデメリットはありますか?
社内にノウハウが残りにくく、情報漏洩リスクへの対策も別途必要になります。
まとめ: 給与計算の外注費用は「依頼先と人数をそろえて比較する」ことで見えてくる
給与計算の外注費用は、依頼先の種類・従業員数・給与体系の複雑さによって数倍単位で変わるため、月額費用の数字だけを単独で見ても自社に合うかは判断できません。自社処理の損益分岐点と並べて比較し、複数社から同じ条件で見積もりを取ることが、失敗しない費用感の見極め方です。
自社の従業員数ではどのくらいの費用感になるか分からない場合は、経理BPOの無料相談で概算を確認することもできます。まずは自社の従業員数、時給制・月給制の内訳、手当の種類を整理するところから始めてください。