請求書の支払いのやり方は、支払い方法を選ぶ→期日までに支払う→証憑を残すという3ステップです。取引先ごとに銀行振込・口座振替・請求書カード払い・請求書後払いサービスのどれを使うかを決め、下請法の60日ルールなどを踏まえて期日を管理し、支払い後は証憑を保存します。本記事では、4つの支払い方法の比較、支払期日の決め方、支払い前に確認すべきこと、遅延・二重払いを防ぐ体制づくりまでを解説します。
この記事は、取引先から届いた請求書の支払い業務を担当することになった、中小企業の経理・バックオフィス担当者向けです。
※ 2026年9月時点の情報です。手数料や取引条件は取引先・サービスごとに異なるため、実際の内容は各社の公式サイトで確認してください。
この記事でわかること
- 請求書の支払いを受け取ってから完了させるまでの4ステップ
- 銀行振込・口座振替・カード払い・後払いサービス4つの比較
- 下請法の60日ルールなど支払期日の決め方
- 支払いが遅れた・二重払いしたときの対応と防ぎ方
請求書の支払いのやり方|受け取ってから完了までの4ステップ
請求書の支払いは、内容の確認、支払い方法の選択、期日までの支払い実行、証憑の保存という4ステップで進みます。
請求書の支払いのやり方4ステップ
最初のステップは、請求書に記載された金額・振込先・支払期限を確認することです。この確認を省くと、後述する二重払いや期日超過にそのままつながります。次に、取引先との契約や社内ルールに沿って支払い方法を選び、期日までに支払いを実行します。
支払いが完了したら、振込明細や領収書を証憑として保存し、会計ソフトへの仕訳まで済ませて一連の作業が終わります。この保存を飛ばすと、電子帳簿保存法上の保存義務を満たせなくなるため、支払いの完了と証憑の保存はセットで考えてください。
証憑の保存ルールは、電子帳簿保存法とは?中小企業の対応3ステップでも詳しく解説しています。
支払い方法4つの比較|銀行振込・口座振替・カード払い・後払いサービス
請求書の支払い方法には、銀行振込・口座振替・請求書カード払い・請求書後払いサービスの4つがあり、手間とコストの掛かり方が異なります。
| 方法 |
支払う側の手間 |
コスト |
向いている場面 |
| 銀行振込 |
都度の振込操作が必要 |
振込手数料 |
取引先ごとに条件が異なる支払い全般 |
| 口座振替 |
初回設定後は自動引き落とし |
口座振替手数料 |
毎月固定額・定型の支払い |
| 請求書カード払い |
オンラインで完結 |
決済手数料(数%) |
支払いを翌月以降に遅らせたい場合 |
| 請求書後払いサービス |
サービス側が代行して立替 |
利用料・手数料 |
資金繰りを平準化したい場合 |
取引先ごとに支払い条件が異なる会社では、汎用性の高い銀行振込が中心になりやすく、毎月固定額の支払いには口座振替が向いています。銀行振込の具体的な手順は、請求書を銀行振込で支払う手順で解説しているので、実際の操作はそちらを参照してください。
株式会社インフキュリオンの「ビジネス決済総合調査2025」は、2025年10月に事業者1,236名を対象に実施されました。この調査では、中企業の62%がインターネットバンキングでの振込を最も多く使う手段と回答しています。
一方で、小企業では23%がATMや金融機関窓口での振込を利用しているという結果でした。窓口・ATMでの振込は1件あたりの手間もコストも大きいため、件数が多い会社ほどネットバンキングへの切り替えで削減できる余地があります。
支払い方法を選ぶ際は、コストだけでなく切り替えの手間も考慮に入れる必要があります。口座振替は初回の設定に取引先の同意と書類のやり取りが必要なため、毎月継続する支払いでなければ導入コストのほうが上回ってしまいます。
逆に単発の取引や取引先が変わりやすい業種では、都度手続きできる銀行振込のほうが柔軟に対応できます。自社の支払い件数のうち、どれだけが定型的な支払いかを一度洗い出しておくと、どの方法に寄せるべきかが見えてきます。
一方で、同社の中小企業のBtoB決済トレンド調査では、請求書カード払いサービスの認知率が約6割、利用意向が約4割まで伸びています。前年から認知率だけで20ポイント増加しています。支払いを翌月以降に遅らせたい・資金繰りを平準化したいという会社では、この種のサービスの検討価値が高まっています。
支払い期日はいつまで?下請法の60日ルールと社内の決め方
下請法が適用される取引では、親事業者は給付を受領した日から60日以内のできる限り短い期間内に支払期日を定める義務があります。
下請法の支払期日ルールとは、公正取引委員会が定める、下請代金の支払期日を受領日から60日以内に設定する義務です。起算日は検収日ではなく受領日である点に注意してください。
公正取引委員会の解説によれば、「毎月末日納品締切・翌月20日支払い」のような設定は60日以内で適法ですが、「毎月末日納品締切・翌々月10日支払い」は60日を超えて違法になります。支払期日を定めなかった場合は受領日そのものが支払期日とみなされ、60日を超えて定めた場合は60日目が支払期日として自動的に扱われます。
下請法の対象外の取引でも、支払期日は「検収後◯日以内」「月末締め翌月末払い」のように契約書に明記しておくことが欠かせません。期日をあいまいにしたまま取引を始めると、繁忙期に処理が後回しになり、意図せず遅延するリスクが高まります。私たちが導入支援の現場で見てきた限りでも、支払期日を明文化していない会社ほど、月末に支払い漏れへの対応に追われる傾向があります。
支払い前に確認すべき3つのこと|二重払い・金額相違を防ぐ
支払い前には、請求書の記載内容、支払期日と残日数、二重払いの有無という3つを確認します。
支払い前に確認する3つのこと
まず請求書の記載内容です。発注書・納品書との金額の突き合わせを省略すると、誤った金額のまま支払ってしまうミスにつながります。次に支払期日と残日数を確認し、複数の請求書を抱えている場合は期日が近いものから処理する順序を決めておくと、対応漏れを防ぎやすくなります。
二重払いの確認も欠かせません。同じ請求書番号を持つ取引が未払い一覧に重複して残っていないか、支払い実行前に消込み作業で照合する習慣が有効です。消込みとは、支払いが済んだ請求書を未払い一覧から1件ずつ消していく確認作業のこと。紙の請求書とメール添付の請求書が別々の担当者に届き、それぞれが支払い処理をしてしまうケースは、複数拠点を持つ会社で特に起きやすいパターンです。
支払いが遅れた・忘れたときの対応と信用への影響
支払いが期日に間に合わない、または忘れていたことに気づいた場合は、判明した時点ですぐ取引先へ連絡し、支払予定日を伝えます。
注意: 支払い遅延に気づいたとき
連絡を後回しにすると、取引先からの信用低下や、以後の取引条件の見直しにつながることがあります。遅延の理由と支払予定日をセットで伝え、可能であれば当日中に振込を完了させることが、信用を保つうえで最も効果的です。
支払い遅延が繰り返される取引先だと取引先に認識されると、前払いや保証金を求められるなど、以後の取引条件が厳しくなることがあります。単発の遅延であっても、連絡なしに放置することが最も信用を損ねる対応です。遅延に気づいたらまず連絡、次に支払い実行という順序を徹底してください。
遅延が繰り返される背景には、支払期日の管理が担当者の記憶やメモだけに頼っている、という共通点があります。請求書を受領した時点でカレンダーやシステムに期日を登録する運用に変えるだけで、うっかり忘れによる遅延はかなり減らせます。
支払い業務を属人化させない仕組みづくり
支払い業務の属人化を防ぐには、支払い方法のルール化、期日管理の仕組み化、複数人での承認体制の3つが必要です。
支払い方法を取引先ごとに担当者の判断で決めていると、担当者が不在のときに誰も対応できなくなります。「◯万円以下は口座振替、それ以外は銀行振込」のように、金額や取引の性質で支払い方法をあらかじめルール化しておくと、判断に迷う場面自体が減ります。期日管理も同様に、受領した請求書を一覧化して期日順に並べる仕組みを作っておくと、担当者が変わっても引き継ぎやすくなります。
当社は補助金を使った会計ソフト・受発注ソフトの導入支援を手がけており、中小企業が経理業務のどこでつまずくかを申請の現場で見てきました。支払い業務が属人化している会社の多くは、承認者が1人しかいないという共通点があります。複数人での承認体制に変えるだけで、二重払いや誤送金のような単純ミスを大きく減らせます。
ルール化といっても、最初から細かい規程を作る必要はありません。「支払い方法・承認者・期日確認のタイミング」の3項目だけを1枚の表にまとめ、経理担当者の誰もが見られる場所に置いておくだけでも、属人化はかなり防げます。表にした運用を数か月続けると、例外的な対応が多い取引先や、確認漏れが起きやすいタイミングも見えてくるため、そこから優先的にルールを見直していくと無理なく定着します。
それでも支払い業務の負担が減らない場合は、確認から証憑保存までを含めて経理BPOへ外注する方法もあります。費用の目安は、経理アウトソーシングの費用相場内訳と抑え方で解説しています。
支払い後の記帳・仕訳のやり方は、銀行口座の記帳のやり方もあわせてご確認ください。
請求書の支払いでやってはいけないNG対応
請求書の支払いでやってはいけないNG対応は、方法をその場で決める、期日を確認せず後回しにする、担当者1人だけで承認する、二重払いを確認しないの4つです。
実際の進め方については、請求書の三つ折りのやり方|向きを間違えない3ステップにまとめています。
請求書の支払いでやってはいけないNG対応
支払い方法をその都度の判断で決めていると、担当者が変わるたびに処理の基準がぶれ、取引先への説明も一貫しなくなります。期日を確認せず後回しにする対応も、繁忙期に処理漏れへ直結する典型的なNGです。承認を1人だけに任せる体制は、その担当者が休んだ日に支払いが止まるだけでなく、誤りに気づける人がいないというリスクも抱えます。
二重払いの確認を省略するのも避けるべき対応です。一度支払ってしまった資金を取り戻す組戻し手続きには、取引先の同意と手数料が必要になるため、支払う前の照合のほうがはるかに低コストで済みます。支払いミスを防ぐ鍵は、実行前のひと確認。この4つのNGはどれも、ルール化と複数人体制で防げるものばかりです。
自社の支払業務のどこに時間がかかっているかは、経理の現状分析(無料)からご相談いただけます。ご契約を前提としたご案内ではありません。
よくある質問
請求書の支払いのやり方を教えてください。
支払い方法を選ぶ→期日までに支払う→証憑を残すという3ステップで進めます。
請求書の支払い方法にはどんな種類がありますか?
銀行振込・口座振替・請求書カード払い・請求書後払いサービスの4つが代表的です。
請求書の支払期日はいつまでに設定すればいいですか?
下請法が適用される取引では、受領日から60日以内に支払期日を定める義務があります。
支払いが期日に間に合わない場合はどうすればいいですか?
気づいた時点ですぐ取引先に連絡し、支払予定日を伝えて信用低下を防ぐことが重要です。
請求書の支払いで二重払いを防ぐにはどうすればいいですか?
支払い前に消込み作業で未払い一覧と照合し、承認を複数人で行う体制にします。
支払い業務を効率化する方法はありますか?
支払い方法のルール化と期日管理の自動化に加え、経理BPOへの外注も選択肢です。
まとめ: 請求書の支払いは「選ぶ→守る→確認する」の3つで回す
請求書の支払い業務は、取引先ごとに合う方法を選び、下請法の60日ルールなど期日を守り、支払い前に二重払いがないか確認するという3つを徹底すれば、遅延やミスの大半を防げます。支払い方法をあらかじめルール化し、複数人での承認体制にしておくと、担当者が変わっても業務が止まりません。
確認と体制づくりを進めても支払業務の負担が減らないこともあります。その場合は、経理BPOの無料相談で支払業務を含めた外注範囲について相談することもできます。まずは直近1か月分の支払い処理で、期日ギリギリになっている取引先がないか洗い出すところから始めてください。