請求書の作り方は、発行者情報・登録番号など8つの要素をテンプレートに配置し、ツールを選ぶ→型を作る→運用するという3ステップで進めれば、誰でも同じ品質で作成できます。様式に法律上の決まりはありませんが、インボイス制度に登録している場合は必須項目を欠くと取引先が仕入税額控除を受けられません。本記事では、テンプレートに入れる要素・作成の3ステップ・Excel/Word/クラウドの違い・よくある失敗・外注の判断基準まで解説します。
この記事は、これから自社で請求書のテンプレートを作る個人事業主・中小企業の経理担当者向けです。
※ 2026年9月時点の情報です。
この記事でわかること
- 請求書テンプレートに入れる6つの要素
- 作成の基本3ステップ
- Excel・Word・クラウドツールの向き不向き
- 作成でよくある失敗と直し方
請求書の作り方とは?初めてでも迷わない基本
請求書の作り方とは、取引内容と金額を決まった項目に沿って1枚のフォーマットにまとめる作業のことです。様式に法律上の指定はありませんが、インボイス制度に登録している場合は決められた項目を満たす必要があります。
請求書の作り方とは、発行者情報や取引内容などの必須項目を、Excel・Word・クラウドツールのいずれかを使って1枚のフォーマットに落とし込む一連の作業です。一度型を作れば、以降は項目を埋めるだけで完成します。
請求書の作り方はテンプレートの型作りから始まる
当社は補助金を使った会計ソフト・受発注ソフトの導入支援を手がけており、中小企業が経理業務のどこでつまずくかを申請の現場で見てきました。請求書の様式を都度作り直している会社ほど、確認漏れが起きやすいと感じています。
日本商工会議所は2024年5月20日〜6月14日に「中小企業におけるインボイス制度、電子帳簿保存法、バックオフィス業務の実態調査」を実施しました(3,149社回答)。この調査では、売上高1千万円以下の事業者の92.0%が経理事務を1人で担当していました。専任の担当者がいない会社ほど、テンプレートを最初にきちんと作っておく効果が大きくなります。
請求書テンプレートに入れる6つの要素
インボイス制度に対応した請求書には、発行者情報・登録番号、取引年月日、取引内容、税率ごとの金額と税率、振込先情報、備考欄という6つの要素を配置します。
注意: 登録番号の欠落は取引先の負担に直結
登録番号が抜けたテンプレートを使い続けると、取引先が仕入税額控除を全額受けられなくなります。作成前に必ずテンプレートへ組み込んでください。
国税庁のタックスアンサーNo.6625 適格請求書等の記載事項では、適格請求書に必要な項目として、発行者の氏名・登録番号、取引年月日、取引内容、税率ごとの金額、消費税額の5つが挙げられています。この5項目に振込先と備考欄を加えた6つが、実務で使えるテンプレートの型になります。
請求書テンプレートに入れる6つの要素
| 要素 |
テンプレート上の配置 |
| 発行者情報・登録番号 |
右上または左上にまとめて固定表示 |
| 取引年月日 |
発行日と並べて右上に配置 |
| 取引内容 |
中央の明細欄に品目ごとの行で記載 |
| 税率ごとの金額と税率 |
明細欄の下に小計を税率別に分けて表示 |
| 振込先情報 |
明細欄の下、備考欄の上に固定表示 |
| 備考欄 |
最下部に自由記述欄として確保 |
明細欄は、品目ごとに1行で分けて記載します。品目数が多い取引では、数量のまとまりごとに小計行を挟むと、取引先が内容を確認しやすくなります。振込先を明細欄と分けて固定表示にしておけば、支払い担当者が探す手間も減らせます。
登録番号と振込先は毎回同じ内容になるため、テンプレートの固定部分として一度入力すれば、以降は入力し直す必要がありません。明細欄と備考欄だけを取引ごとに書き換える形にしておくと、作成のたびに迷う項目がなくなります。
請求書の作り方3ステップ|ツール選び→型作り→運用
請求書の作り方は、ツールを選ぶ・テンプレートの型を作る・運用しながら改善する、という3ステップで進めます。
請求書の作り方3ステップ
ステップ1では、発行件数と管理人数に合わせてExcel・Word・クラウドツールのいずれかを選びます。選び方は次の章で比較します。
ステップ2では、選んだツールに前章の6つの要素を配置し、固定部分と可変部分を分けたテンプレートを1つ作ります。この段階で登録番号や振込先を必ず組み込んでおくと、以降の作成作業が大きく短縮できます。
ステップ3では、実際に使いながら、書きにくい箇所や取引先からの問い合わせが多い箇所を見つけて型を調整します。一度で完璧な型を作ろうとせず、数回使ってから微調整するくらいの気持ちで進めると、かえって早く安定します。
発行してからの送付・保存までの流れは、請求書の発行のやり方|必須6項目と基本4ステップで解説しています。
Excel・Word・クラウドツールでの作り方の違い【比較】
請求書の作り方は、使うツールによって型の作り込み方と運用の手間が変わります。
| ツール |
作り方の特徴 |
向いている場面 |
| Word |
レイアウトの自由度が高いが計算式は組めない |
発行件数が月数件、明細が単純な場合 |
| Excel |
関数で税額を自動計算できる |
月数件〜数十件、自社で様式を管理したい場合 |
| クラウドツール |
登録番号や税率区分をあらかじめ登録して自動反映 |
発行件数が多い、複数人で確認したい場合 |
Wordはレイアウトを自由に組める一方、税額の計算は手入力になるため、件数が増えるほど計算ミスのリスクが上がります。明細が数行程度で済む取引に向いています。
Excelは関数を使えば税率ごとの小計と消費税額を自動計算できます。関数を使ったテンプレートの具体的な作り方は、請求書をエクセルで自動化する3つの手段で詳しく解説しています。
クラウドツールは、登録番号や取引先情報を先に登録しておけば、明細を入力するだけで残りが自動反映されます。作成担当者が変わっても同じテンプレートで同じ項目が出力されるため、属人化の防止にもつながります。
クラウドツールは月額費用が発生しますが、登録番号や税率の入力ミスをシステム側で防げる分、確認作業そのものが減ります。発行件数が増えるほど、月額費用よりも確認時間の削減効果のほうが大きくなる傾向があります。
取引先ごとに書式が違う外注費の請求書を受け取る側の視点は、外注費の請求書の書き方も参考になります。
発行件数が増えてきた会社ほど、テンプレートの選定を先送りにしがちです。発行件数がまだ少ない段階でツールを決めておくと、後から乗り換える手間を避けられます。乗り換えの際は、過去の請求書番号を引き継ぐ設定を忘れないようにしてください。
インボイス制度に対応した書き方の注意点
インボイス制度に登録している場合、テンプレートには登録番号を含む6項目をすべて配置する必要があります。
日本商工会議所の前出調査では、免税事業者(BtoB中心)の73.3%がすでにインボイス登録を実施していました。登録の有無で、テンプレートに登録番号欄を用意するかどうかが変わります。
未登録のまま作成を続けると、登録番号欄のない区分記載請求書になり、取引先の仕入税額控除が段階的に縮小されます。新しくテンプレートを作る段階で、自社が登録済みかどうかを先に確認しておくと、あとから作り直す手間を防げます。個人事業主向けの記載ルールの違いは、請求書の書き方|個人が押さえる基本6項目と源泉徴収でも整理しています。
請求書作成でよくある失敗と直し方
請求書作成でよくある失敗は、税込・税抜の混在、通し番号の重複、テンプレートの都度作り直しの3つです。
失敗しやすい作り方と失敗しない作り方
1つ目は、8%対象と10%対象の金額を税込・税抜どちらかに統一せず混在させる失敗です。テンプレートの明細欄をあらかじめ税率ごとに分けておけば、この間違いは起きません。
2つ目は、請求書番号を都度考えて振っているために番号が重複する失敗です。連番を自動採番する仕組みをテンプレートに組み込むだけで、この失敗はなくなります。
3つ目は、案件ごとにゼロからテンプレートを作り直してしまう失敗です。私たちが中小企業の経理支援に携わる中でも、請求書の書式を都度作り直しているという相談を受けることがあります。固定部分と可変部分を分けた型を一度決めてしまえば、作り直す必要はなくなります。
4つ目は、取引先ごとに振込先や締め日の表記ルールを変えてしまう失敗です。取引先が変わっても記載ルールを統一しておくと、経理担当者が変わったときの引き継ぎもスムーズになります。
自社の経理のどこに時間がかかっているかは、経理の現状分析(無料)からご相談いただけます。ご契約を前提としたご案内ではありません。
自分で作るか、外部に任せるか判断の分かれ目
請求書の作り方を自社で固めるか外部に任せるかは、月の発行件数が10件以内で担当者が明確なら自作、10件を超えて属人化が進んでいるなら外部委託を検討する目安になります。
自作を選ぶ場合は、前述のテンプレートの型を一度作り込めば、以降は明細の入力だけで済みます。発行件数が少ないうちは、この方法で十分に回せます。判断に迷う場合は、直近3か月の発行件数を数えてみてください。月平均で10件を超えていれば、自作の負担は今後さらに増えていく可能性が高いです。
一方、発行件数が増えて担当者が対応しきれなくなっている場合や、担当者の急な退職でテンプレートの管理者がいなくなった場合は、作成から記帳までをまとめて外部に任せたほうが、社内の確認作業を減らせます。当社は2020年3月の創業から2026年9月までに、のべ50社以上の経理・バックオフィス業務の導入支援を手がけてきました。
外部委託を選ぶ場合も、テンプレートの型そのものは無駄になりません。委託先に自社の取引条件を伝える際の共通の資料として、そのまま使えます。紙の請求書をデータ管理に切り替えたい場合は、請求書電子化の進め方も参考になります。判断に迷う場合は、経理BPOの無料相談で自社の状況を整理することもできます。
よくある質問
請求書の作り方に決まった様式はありますか?
法律で定められた様式はなく、必須項目を満たしたテンプレートであれば形式は自由です。
請求書はExcelとクラウドツールのどちらで作るべきですか?
月10件程度までならExcel、それを超えるならクラウドツールが向いています。
請求書のテンプレートに最低限入れる項目は何ですか?
発行者情報・登録番号、取引年月日、取引内容、税率ごとの金額、消費税額の5項目です。
無料テンプレートをそのまま使っても問題ありませんか?
消費税の端数処理と登録番号欄の有無だけは、使う前に必ず確認してください。
請求書の作成でよくある失敗は何ですか?
税込・税抜の混在、通し番号の重複、テンプレートの都度作り直しの3つです。
請求書作成を自分でやるか外注するかはどう判断しますか?
月の発行件数が10件を超え属人化しているなら、外部委託を検討する目安です。
まとめ: 請求書の作り方は6要素の型作りで安定する
請求書の作り方は、6つの要素をテンプレートに配置し、ツールを選ぶ→型を作る→運用するという3ステップで進めれば、毎回迷わず同じ品質で作成できます。インボイス登録の有無で必要項目が変わる点と、税込・税抜の混在や番号の重複といった作成時の失敗は、特に見落としやすいので注意してください。
まずは自社が使っているテンプレートに、登録番号や振込先など6つの要素がすべて揃っているかを確認するところから始めてください。抜けている項目があれば、次に発行する1枚から直せば十分です。発行件数が増えて作成が負担になってきた場合は、経理BPOの無料相談で相談することもできます。
取引先の数や発行件数が増えるほど、テンプレートを都度作り直す余裕はなくなっていきます。固定部分と可変部分を分けた型を一度作ること。これが請求書作成を安定させる一番の近道です。