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月次決算をエクセルで回す落とし穴3つ|残す表とやめる入力

月次決算はエクセルでも回せますが、向くのは集計と確認の表で、仕訳の手入力まで抱えると締めが遅れます。エクセルに残す3枚の表、手順5つ、前払費用と備品の落とし穴、銀行・カードの連携へ切り替えた15社で入力が月20時間から6時間になった実測を2026年10月時点で解説します。

月次決算をエクセルで回す落とし穴3つ|残す表とやめる入力

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月次決算はエクセルでも回せますが、エクセルに任せるのは集計と確認の表だけにしてください。仕訳の入力までエクセルで抱えると、転記の手間と誤りが毎月たまり、締めが遅れます。

Excelに手で打っていた銀行・カードの明細を、会計ソフトの自動連携に替えた会社があります。当社が2023年4月から2026年9月までに切り替えを行った15社では、入力作業が月平均20時間から6時間になりました。手入力をやめ、エクセルは「読む表」に絞るのが、締めを早める近道です。

この記事は、月次決算をエクセルで回していて、締めが翌月の後半までずれ込んでいる中小企業の経営者・経理の責任者向けです。

※ 2026年10月時点の情報です。少額の減価償却資産と短期前払費用の扱いは、国税庁のタックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)を2026年10月24日に確認しました。

この記事でわかること
  • 月次決算でエクセルに残す表と、会計ソフトへ渡す作業の分け方
  • エクセルで月次決算を回す5つの手順
  • 前払費用・備品・二重入力の落とし穴3つと直し方
  • エクセルのまま続けてよい会社・移したほうがよい会社の分かれ道

月次決算はエクセルでできる?

月次決算はエクセルでもできますが、仕訳の入力は会計ソフトに置き、エクセルは比べる表に使うと締めが早まります。

月次決算とは、毎月の取引を締めて、その月の売上・費用・利益と、月末の残高を確かめる社内の手続きです。法律で義務づけられた決算ではなく、経営判断のために行います。

エクセルで月次決算を回す会社には、2つの形があります。仕訳から試算表までエクセルで作る形と、会計ソフトで締めた数字をエクセルで並べる形です。

当社が勧めるのは、会計ソフトで締めた数字をエクセルで並べる形です。エクセルの得意な作業は、12か月を横に並べて比べることです。仕訳の入力・集計・残高の繰り越しは、会計ソフトのほうが誤りが少なく済みます。

月次決算そのものの流れは、月次決算とは?初心者向けの基本と進め方5ステップで基本から整理しています。

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Q1経理の作業が、1人の担当者(または兼任の人)に集まっていますか?

答えると残りの4問へ進み、経理のうち外に出せる範囲の目安が出ます。答えはどこにも送信しません。

エクセルに残す表と、会計ソフトに渡す作業

月次決算でエクセルに残すのは、月次推移表・締めのチェック表・調整仕訳の一覧の3枚で、仕訳の入力は会計ソフトに渡します。

仕訳の入力や明細の取り込みなど4つの作業を、エクセルと会計ソフトのどちらが受け持つかで比べた表

作業ごとに、エクセルと会計ソフトの向き不向きを並べると次のとおりです。

作業 エクセル 会計ソフト
仕訳の入力 向かない 向く
銀行・カードの明細 手で貼る 連携で取り込む
月ごとの比べ表 向く 一部できる
締めの確認 向く 一部できる

エクセルに残す3枚の表は、それぞれ役割が違います。

表の名前 中身 誰が読むか
月次推移表 科目ごとの金額を12か月横に並べた表 経営者
締めのチェック表 締めの作業と終わった日・担当者の一覧 経理の責任者
調整仕訳の一覧 前払費用・減価償却・未払費用など毎月入れる仕訳 経理の担当者

月次推移表は、会計ソフトから書き出した試算表を貼るだけで作れる形にしてください。数字を手で打ち直すと、会計ソフトとエクセルの金額がずれたときに、どちらが正しいか分からなくなります。

関数で集計を速くする工夫は、エクセル経理の効率化のコツ7選にまとめています。

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どこまで外に出せるかを、現状を伺って切り分けます

記帳・請求・支払・給与のうち、外に出せる範囲と社内に残す範囲を、無料の相談で整理します。当社は2023年4月から2026年9月までに、経理代行・記帳代行を48社で担当しました。

月次決算をエクセルで回す5つの手順

月次決算をエクセルで回す手順は、証憑の回収・仕訳・調整仕訳・推移表への貼り付け・前月との比べの5つです。

証憑を集めてから締めの表で前月と比べるまで、月次決算をエクセルで回す5つの手順を順に並べた図
  1. 請求書・領収書・通帳の明細を、月末から数日で手元にそろえる
  2. 銀行・カードは会計ソフトの連携で取り込み、残りの取引を会計ソフトで仕訳する
  3. 前払費用の振り替え・減価償却費・未払費用を、エクセルの調整仕訳の一覧から毎月入れる
  4. 会計ソフトの試算表を書き出し、エクセルの月次推移表の当月の列に貼る
  5. 締めのチェック表で前月と比べ、大きく動いた科目に印と理由を書く

調整仕訳の一覧を作っておくと、毎月の入れ忘れが減ります。年払いの保険料を12で割った額、備品の減価償却費の月額などを、行ごとに書いておく表です。

前月と比べるときの目安は、会社の規模で変わります。当社の判断では、前月より大きく動いた科目は、まず仕訳の入れ忘れか二重計上を疑います。売上が動いていないのに費用だけが動いた月は、多くが入力側の問題だからです。

工程ごとの細かい確認項目は、月次決算早期化チェックリストが使えます。

エクセルの月次決算で起きる落とし穴3つ

エクセルの月次決算で起きやすいのは、年払いの一括計上、備品の消耗品処理、会計ソフトとの二重入力の3つです。

あわせて経費精算がめんどくさい会社の落とし穴もご覧ください。

年払いの一括計上・備品の消耗品処理・二重入力という3つの落とし穴と、それぞれの直し方を左右に並べた図

当社が2023年4月から2026年9月までに経理代行で担当した7社では、実際に直した仕訳の誤りが年間約90件ありました。多い順に、外注費と給与の区分が約40件、資産に計上すべき備品の消耗品処理が約25件、前払費用の計上漏れが約15件、源泉徴収の漏れが約10件です。

この件数は7社の合計で、1社ごとの内訳や会社の規模は集計していません。自社の誤りの数を知るには、まず直した仕訳を1年分数えてください。

落とし穴1: 年払いを払った月に全額で載せる

年払いの保険料やソフトの利用料を払った月だけ、費用が跳ね上がります。月次推移表では、その月だけ赤字に見えます。原因は、調整仕訳の一覧を作らず、支払った月の仕訳だけで締めていることです。

避け方は、月次の表では年払いを12か月に分けて毎月載せることです。

税の扱いには分かれ道があります。国税庁のタックスアンサーNo.5380では、支払った日から1年以内に受けるサービスの支払いは、毎期続けて同じ処理をする条件で、支払った期の費用にできます。

1年以内のサービスの支払いで、毎期同じ処理を続けるなら、自分で特例の処理を選んでかまいません。1年を超える分を含む支払いや、処理を途中で変えたい場合は、税理士に聞いてください。

落とし穴2: 備品を金額を見ずに消耗品にする

パソコンや棚を消耗品で落とし、決算の見直しで資産へ振り替える手戻りが出ます。原因は、エクセルの経費一覧に金額の線引きが無いことです。

避け方は、経費一覧に「10万円」と「40万円」の線を書いておくことです。国税庁のタックスアンサーNo.5403では、取得価額10万円未満か、使える期間が1年未満のものは、全額を損金にできます。

10万円以上40万円未満の備品は、会社の条件で扱いが分かれます。国税庁のタックスアンサーNo.5408では、青色申告の中小企業者の法人なら、2026年4月1日以後の取得分は40万円未満まで全額を損金にできます。年の合計は300万円までです。

備品の条件 自分で決めてよいか
10万円未満、または使える期間が1年未満 自分で消耗品として処理してよい
10万円以上40万円未満で、青色申告の中小企業者の法人 特例を選ぶなら年300万円の枠の残りを確かめて処理
年300万円の枠を超えそう、または法人の条件に迷う 仕訳の前に税理士に聞く

従業員数の上限は400人以下に変わりました(特定法人は300人以下)。人数が境に近い会社は、仕訳の前に税理士に確かめてください。

落とし穴3: 会計ソフトとエクセルの両方に入力する

同じ取引を2か所に打ち込み、月末に金額が合わず、差の原因を探すのに時間を使います。原因は、エクセルの経費一覧を「控え」として残したまま、会計ソフトにも入力していることです。

同じ取引をエクセルと会計ソフトの両方に入力するのはNGです。入力は会計ソフトの1か所にし、エクセルは書き出した数字を貼る側に回してください。

経費精算も同じです。2023年4月から2026年9月までに、紙・Excelの経費精算をクラウド経費精算に切り替えた12社がありました。1社あたり月8〜15時間の手間が減り、締め作業が約3日短くなりました。

エクセルで続けてよい会社・移したほうがよい会社

手入力が月6時間前後に収まり締めが翌月10日までなら続け、手入力が月20時間前後か締めが翌月20日前後なら移してください。

目安の時間と日付は、当社の実測から取っています。2023年4月から2026年9月までに、Excelの手入力から銀行・カードの連携へ切り替えた15社では、入力作業が月平均20時間から6時間になりました。

締めの日付は、別の集計です。2023年4月から2026年9月までに当社が経理代行を担当した9社では、月次の締めが平均で翌月20日から翌月8日に、約12日早まりました(最も早い会社は翌月5日)。

「翌月10日まで」は、9社の委託後の平均である翌月8日に近い日付として、当社が置いた目安です。最も早い会社が翌月5日だったので、翌月10日はその5日後にあたり、無理なく届く線だと当社は判断しています。

今の状態 選ぶこと
手入力が月6時間前後で、締めが翌月10日まで エクセルの表はそのまま続ける
手入力が月20時間前後(連携に切り替えた15社の、切り替え前の平均) 銀行・カードの連携で手入力を減らす
連携しても締めが翌月20日前後(経理代行に任せた9社の、委託前の平均) 締めまで外部に任せることを検討する
エクセルを触れるのが担当者1人だけ 表の作り方を書き残し、2人目が締められる形にする

月20時間の手入力は、15社が切り替える前の平均と同じ水準です。自社が同じ水準なら、連携だけで減る余地が大きいと当社は判断しています。

2つ以上の行に当てはまるなら、担当者1人の行を先に片づけてください。表の作り方が書き残されていないと、連携も委託も引き継ぐ相手がいないためです。次に連携、最後に委託の順で進めます。

仮の例で当てはめます。仮に担当者が手入力に月18時間かけ、締めが翌月15日なら、まず銀行・カードの連携を1か月試してください。連携後も締めが翌月20日前後のままなら、締めまで外部に任せることを検討します。翌月10日までに締まるなら、エクセルの表を続けてかまいません。

連携を試す1か月の評価は、手入力の時間と締めの日の2つで行います。手入力が月6時間前後に近づけば成功、変わらなければ連携の設定より証憑の集め方を疑ってください。

費用は、導入前に見積もりで確かめます。仮に手入力が月6時間なら、連携や委託にお金をかけるより、エクセルを続けるほうが合う会社が多いと当社は考えます。減らせる時間が小さい会社は、費用に見合わないためです。

エクセルのまま続けたほうがよい場合

会計ソフトにもう入力していて、手入力が月6時間前後なら、エクセルの月次推移表は続けてかまいません。移す手間のほうが大きいためです。取引の件数より、手入力にかかる時間で決めるのが確実です。

エクセルの表で経営者が毎月数字を読んでいるなら、その表は残す価値があります。消すのは手入力の部分だけで、読む表は残す、という分け方です。

経理を外に任せると、エクセルの表はどうなる?

経理を外に任せる場合、仕訳と締めは委託先が担い、エクセルの月次推移表は経営者が読む表として社内に残せます。

当社には、経理担当が離職した大手コンサル会社から、経理BPOを導入したいという問い合わせがあり、契約を結びました。担当者が1人で抱えるエクセルの表は、離職と同時に読める人がいなくなりがちです。当社が月次の表の作り方を書き残すよう勧めるのは、担当者が替わっても締めを止めないためです。

外に任せる前に確かめたいのは、自社が委託に向くかどうかです。2023年4月から2026年9月までに、当社が経理代行の依頼をお断りした・合わなかった例は7件でした。

  • 現金取引が中心で、証憑がそろわない(3件)
  • 決算直前の丸投げで、期限に間に合わない(2件)
  • 税務の判断まで求められた(2件)

現金取引が中心で領収書が残らない会社は、委託を見送ってください。エクセルでも委託でも、元の資料が無ければ締められません。まず領収書を残す決まりを作るほうが先です。

税務の判断を求める相談は、税理士に頼む範囲です。経理代行は帳簿と締めを受け持ち、申告と税務の相談は税理士が受け持つ分け方になります。

手がいっぱいの税理士事務所から、業務を分担できないかという問い合わせがあり、業務を分担する提携を結びました。建設業の会社3社の経理代行で、実際に直した仕訳の誤りは接待交際費の扱いでした。税務の判断に迷う科目は、税理士と分担すると進みます。

次は、委託先の探し方です。当社は2026年10月に、2つのAI(ChatGPT・Claude)へ経理代行・記帳代行に関する質問を50問聞き、答えの出典668件を種類ごとに数えました(業種調査)。経理代行会社を探す質問では、出典の28.8%が比較・紹介サイト、56.1%が経理代行会社の公式サイトでした。

同じ調べでは、費用・選び方・税理士との違い・依頼できる範囲を調べる質問で、回答の85.0%が経理代行会社の公式サイトを1つ以上出典にしていました。費用や範囲は、各社の公式サイトで自社の条件に当てはめて確かめてください。

2023年4月から2026年9月までに、当社が経理代行・記帳代行を担当した会社は48社で、そのうち31社は継続中です。担当者が退職した直後の動き方は、経理担当者の退職対応にまとめています。

今日やること: 締めの日と手入力の時間を書き出す

月次決算をエクセルで見直す最初の一歩として、先月の締めが終わった日と、手入力にかけた時間を書き出してください。

  1. 先月の月次決算が終わった日を、締めのチェック表かメールの日付で確かめる
  2. 会計ソフトとエクセルに手で入力した時間を、担当者に1か月分聞く
  3. 同じ取引を2か所に入力していないかを、経費一覧と会計ソフトで見比べる
  4. 手入力の時間と締めの日を、「エクセルで続けてよい会社・移したほうがよい会社」の表に当てはめる

手入力が月6時間前後で締めが翌月10日までなら、調整仕訳の一覧だけ作って終わりにしてください。連携しても締めが翌月20日前後なら、締めの日と手入力の時間を持って委託先を比べます。

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よくある質問

月次決算はエクセルだけでできますか?

できます。ただし仕訳の元帳まで手入力で作ると転記の誤りが増えるため、エクセルは集計と確認の表に絞ってください。

月次決算のエクセルには、どんな表を用意しますか?

月次推移表・締めのチェック表・調整仕訳の一覧の3枚です。仕訳の入力そのものは会計ソフトで行います。

エクセルの手入力をやめると、作業はどれくらい減りますか?

当社の集計(2023年4月〜2026年9月に銀行・カードの連携へ切り替えた15社)では、入力作業が月平均20時間から6時間になりました。

経理を外に任せると、エクセルの月次推移表はどうなりますか?

仕訳と締めは委託先が担い、月次推移表は経営者が数字を読む表として社内に残す分け方を当社は勧めています。

月次決算の外部委託が向かないのは、どんな場合ですか?

現金取引が中心で証憑がそろわない場合です。当社が合わなかった7件のうち3件が、この理由でした。

法人の備品は、いくらまで消耗品で処理できますか?

10万円未満が基本です。青色申告の中小企業者の法人は、40万円未満なら年300万円まで特例で全額を損金にできます。

まとめ: エクセルは読む表に絞り、入力は1か所にする

月次決算はエクセルでも回せます。エクセルに残すのは月次推移表・締めのチェック表・調整仕訳の一覧の3枚で、仕訳の入力は会計ソフトの1か所にします。

手入力が月20時間前後なら連携を、締めが翌月20日前後なら外部への委託を検討してください。今日は、先月の締めの日と手入力の時間を書き出すところから始めてください。

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