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経理マニュアルの作り方とは?属人化を防ぐ5つの手順

経理マニュアルとは、経理業務の手順や判断基準を文書化し、誰が担当しても同じ品質で処理できるようにする資料です。作成の5ステップ、記載すべき5項目、業務別のポイント、よくある失敗を2026年8月時点の情報で解説します。

経理マニュアルの作り方とは?属人化を防ぐ5つの手順

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経理マニュアルの作り方は、対象業務を洗い出し、手順を整理し、様式を決めたうえで文書化し、周知して運用を始めるという5ステップです。手順を口頭やその場の判断だけで回している会社では、担当者が変わるたびに処理の品質がぶれやすくなります。本記事では、経理マニュアルが必要な理由、作成の5ステップ、記載すべき項目、業務別のポイント、よくある失敗まで、中小企業の経理支援の実務を踏まえて解説します。

この記事は、経理の手順が担当者の頭の中にしかなく、マニュアルとして整備し直したい中小企業の経営者・管理部門責任者向けです。

※ 2026年8月時点の情報です。

この記事でわかること

  • 経理マニュアルが必要な理由とないまま運用するリスク
  • 経理マニュアル作成の5ステップ
  • マニュアルに記載すべき5つの項目
  • 業務別に盛り込むべきポイントとよくある失敗

経理マニュアルとは?

経理マニュアルとは、記帳から支払い・月次決算までの手順と判断基準をまとめた社内文書です。

あわせて小規模事業者の経理体制の作り方もご覧ください。

経理マニュアルとは、仕訳の入力基準、請求書の処理手順、承認ルートといった経理業務の進め方を、担当者の記憶に頼らず文書として残したものを指します。誰が担当しても同じ手順・同じ判断基準で処理できる状態を作ることが目的です。

就業規則や経費精算規程とは別に、業務ごとの実務手順だけをまとめた資料として作る会社が多くなっています。「この処理はいつも◯◯さんに聞く」という状態が続いている会社ほど、マニュアル化の効果は大きくなります。

マニュアルがない状態は、担当者の経験と記憶だけで業務が回っている状態でもあります。異動や退職で担当者が入れ替わった瞬間に、それまでの判断基準がそのまま失われるリスクを抱えています。

マニュアルを誰が書くかも、事前に決めておきたいポイントです。現在の担当者が実務のまま書き起こすのが最も早く、経理未経験の担当者や外部の目でチェックしてもらう工程を挟むと、専門用語が多すぎて読みにくいという事態を防げます。作成後に一度、経理に詳しくない社員へ読んでもらうテスト運用も有効です。

経理マニュアルが必要な理由|ないまま運用する3つのリスク

マニュアルがないと、属人化・引き継ぎの遅れ・処理品質のばらつきという3つのリスクが生じます。

株式会社TOKIUMは2026年5月21日、「経理業務の属人化に関する調査」を公表しました。全国の経理・財務担当者946名を対象にした調査で、仕訳入力の判断が属人化していると感じる担当者は66.1%にのぼります。同調査では、マニュアルが「未整備」または「不十分」と回答した割合が73.7%という結果も出ています。

属人化した業務のうち最も多いのは経費精算の確認・承認で38.1%、仕訳入力にかける時間は月平均20.1時間という数値も示されました。マニュアルがないほど、判断のたびに担当者本人へ確認する手間が積み重なっていきます。

具体的には、次の3つが典型的なリスクです。属人化は、特定の担当者しか処理方法を把握していない状態を指します。引き継ぎの遅れは、退職や異動の直前になって初めて手順を書き出そうとする状態です。処理品質のばらつきは、判断基準が共有されておらず、担当者ごとに結果が変わる状態を指します。

経理の属人化を解消する5つの方法|原因とリスクも解説で紹介したとおり、属人化は退職・休職のタイミングで一気に表面化します。マニュアルは、その表面化を未然に防ぐための土台になります。

Service経理BPO・記帳代行記帳・請求・支払・給与を、実務ごと引き受けます。同じシステムを自社で使う形もお選びいただけます。

経理マニュアル作成の5ステップ

経理マニュアルは、業務の洗い出しから運用開始まで5つのステップで作ると失敗しにくくなります。

経理マニュアル作成の5ステップ: 業務を洗い出す、手順を整理する、様式・ひな型を決める、マニュアルに文書化する、周知して運用を始める
経理マニュアル作成の5ステップ

第一に、対象業務を洗い出します。記帳・支払い・月次決算など、マニュアル化したい業務を一覧にし、優先度の高いものから着手してください。

第二に、現状の手順を整理します。誰が・いつ・何を基準に判断しているかを、実際の作業を見ながら書き出すのが確実です。思い出しながら書くのではなく、作業中の画面を見ながら記録すると抜け漏れが減ります。

第三に、様式・ひな型を決めます。手順書の形式(文章主体か、チェックリスト主体か)を先に統一しておくと、複数業務のマニュアルを並行して作りやすくなります。

第四に、決めた内容をマニュアルとして文書化します。画面キャプチャや記入例を添えると、口頭説明なしでも同じ処理を再現できます。

第五に、社内に周知して運用を開始します。作って終わりにせず、実際に使ってもらいながら分かりにくい箇所を直していく進め方が定着への近道です。

経理の業務フロー見直し3ステップ|属人化と遅延を防ぐで紹介した業務フローの可視化は、このステップの土台としてそのまま活用できます。フローが整理できていると、マニュアル化する範囲も決めやすくなります。

経理マニュアルに記載すべき5つの項目

経理マニュアルには、業務の目的・作業手順・使用ツール・承認ルート・例外対応の5項目を入れます。

経理マニュアルに記載すべき5つの項目: 業務の目的と対象範囲、作業手順とチェックポイント、使用する帳票・システム、承認ルートと担当者、例外対応の連絡先
経理マニュアルに記載すべき5つの項目
項目 決めておくこと
業務の目的と対象範囲 何のための業務か、どこまでを担当者の責任範囲とするか
作業手順とチェックポイント 手順の順番と、間違えやすい箇所の確認方法
使用する帳票・システム 会計ソフトや受発注システムなど、使用ツールと入力箇所
承認ルートと担当者 誰が承認するか、不在時の代理承認者は誰か
例外対応の連絡先 判断に迷ったときに誰へ確認すればよいか

使用ツールの欄は、意外と省略されがちな項目です。どの画面のどのボタンを押すかまで書いておくと、新任担当者でも迷わず操作できます。

例外対応の連絡先は、マニュアルの実効性を左右する項目です。想定外の取引が出たときに誰へ確認すればよいかを明記しておかないと、結局は元の担当者への問い合わせが減りません。

作業手順の欄には、単なる操作の並びだけでなく、なぜその順番で処理するのかという理由まで添えておくと、マニュアルを読んだ人が応用を利かせやすくなります。理由が抜けた手順書は、想定外のケースに対応できません。

当社は補助金を使った会計ソフト・受発注ソフトの導入支援を手がけており、経理マニュアルがなぜ形骸化するのかを、支援の現場で数多く見てきました。多くの場合、使用ツールの操作箇所と例外対応の連絡先が抜けたまま作られています。

業務別に盛り込むべきポイント|記帳・支払い・月次決算

記帳・支払い・月次決算は、それぞれ判断基準が異なるため業務別にマニュアルを分けるのが基本です。

関連する内容として年末調整の効率化ポイント5つも公開しています。

記帳業務では、勘定科目の判断基準を具体例つきで書いておくことが欠かせません。

仕訳ミスを防ぐ方法とは?で挙げたように、勘定科目の判断ミスは多くの会社で共通して起きています。マニュアルに具体例を並べておくと、迷ったときの拠りどころになります。

支払業務では、支払期日と承認ルートをセットで明記します。支払業務の効率化とは?基本4ステップと方法の比較で紹介した効率化の考え方は、マニュアル化と同時に進めると効果が出やすくなります。

月次決算では、締め日から確定までの日程と、各工程の担当者を時系列で示します。月次決算早期化チェックリストのチェックリストをマニュアルに組み込むと、決算スケジュールの管理がしやすくなります。

業務ごとに粒度をそろえずに書き始めると、後から読み返したときに使いにくいマニュアルになりがちです。最初に3業務分のフォーマットをそろえてから書き始めると、統一感のあるマニュアルに仕上がります。

給与計算や年末調整のように年1回しか発生しない業務も、マニュアル化の優先度が高い分野です。頻度が低い業務ほど、前回の記憶が薄れた状態で作業することになり、手順書がないと確認に時間がかかります。日常的に発生する記帳や支払いと、年1回しか発生しない業務とでは、マニュアルの更新チェックのタイミングも分けて管理すると運用しやすくなります。

経理マニュアルでよくある失敗とNG運用

経理マニュアルは、作るだけでなく更新し続けないと形骸化しやすくなります。

経理マニュアル作成のNGとOK: NG例は手順を口頭だけで伝える・全業務を一度にまとめようとする・画面キャプチャなしで文章だけ・作って終わりで更新しない、OK例は手順を書面に残す・優先度の高い業務から作る・画面キャプチャや記入例を入れる・更新日を決めて見直す
経理マニュアル作成のNGとOK
注意: 「作って満足」が一番の失敗パターン
完成させることが目的になると、運用を始めた時点の手順のまま更新されず、実態と食い違ったマニュアルが放置されます。

株式会社プロジェクト・モードは2024年6月11日、「業務マニュアル活用の実態調査」を公表しました。会社員620名を対象にした調査では、マニュアルの整備率は78.9%と高い一方、「活用が充実していない」と回答した割合は53.7%にのぼります。作っただけでは使われないマニュアルになりやすいことがうかがえます。

全業務を一度にまとめようとするのも典型的な失敗です。私も、全業務を一気に文書化しようとして途中で止まってしまった会社の相談を受けたことがあります。原因の多くは、範囲を区切らない一括着手。優先度の高い業務から着手し、範囲を区切って進めるほうが完成にたどり着きやすくなります。

画面キャプチャなしで文章だけのマニュアルも避けたいNG例です。文章だけでは操作画面のどこを押すのか伝わらず、結局は口頭での補足説明が必要になります。

自社の経理のどこに時間がかかっているかは、経理の現状分析(無料)からご相談いただけます。ご契約を前提としたご案内ではありません。

作ったマニュアルを更新・定着させるコツ

マニュアルを定着させるには、更新日を決めて定期的に見直す運用が効きます。

規程やマニュアルは、作って配布するだけでは使われません。半年に一度など更新のタイミングをあらかじめ決めておくと、実態とのずれを防げます。会計ソフトの画面が変わったり、取引先が増えたりすると、想定していなかった処理も出てきます。

経費精算ルールの作り方で紹介した規程づくりと同様、マニュアルも一度作って終わりにせず、実際の申請内容とのずれを確認する機会を持つことが欠かせません。

新任担当者や異動してきた担当者には、配布するだけでなくマニュアルを見ながら一緒に作業する時間を設けると、後からの問い合わせが大きく減ります。説明会や1on1とセットで展開すると、読まれないまま放置される事態を防げます。定着の分かれ目は、配って終わりにするか、使う場面まで作り込むかの差。

マニュアル整備で人手が回らないときの経理BPOという選択肢

マニュアルを作る時間や人手が足りない場合は、経理BPOへの外部委託も選択肢になります。

マニュアル化したくても、日々の業務に追われて着手できないという相談は少なくありません。経理担当者が1人しかいない体制では、通常業務とマニュアル作成の両方を1人で抱え込みがちです。

経理外注の引き継ぎ|必要資料と失敗しない5ステップで紹介した進め方も参考になります。経理BPOでは委託先が標準化した手順書をもとに業務を進めるため、自社でマニュアルを一から作らなくても引き継ぎが進められます。担当者の退職が決まってから慌てて文書化するより、早い段階で経理BPOの無料相談を活用するほうが、引き継ぎの精度は上がります。

自社でマニュアル化する範囲と、委託先に任せる範囲を分けて考えると、優先順位もつけやすくなります。社内に残す業務ほど先にマニュアル化するという順番で進めると、限られた時間を有効に使えます。

よくある質問

経理マニュアルとは何ですか?

経理業務の手順や判断基準を文書化し、誰が担当しても同じ品質で処理できるようにする資料です。

経理マニュアルはなぜ必要ですか?

属人化を防ぎ、担当者が変わっても業務品質と処理スピードを保てるようにするためです。

経理マニュアルにはどんな項目を書けばいいですか?

業務の目的、作業手順、使用する帳票・システム、承認ルート、例外対応の連絡先の5項目が基本です。

経理マニュアルの作成にはどのくらい時間がかかりますか?

対象業務の洗い出しから完成まで、規模にもよりますが1〜2か月程度が目安です。

経理マニュアルを社内に定着させるにはどうすればいいですか?

実際の画面や記入例を入れて、更新日を決めて定期的に見直す運用にすることです。

マニュアルを作る人手が足りない場合はどうすればいいですか?

経理BPOに運用ごと委託し、標準化された手順を活用する方法があります。

まとめ: 経理マニュアルは「5ステップで作り、更新し続ける」ことが定着の条件

経理マニュアルは、業務の洗い出しから様式決定・文書化・周知までの5ステップで作り、更新日を決めて見直し続けることで定着します。記載項目を5つに絞り、業務別に粒度をそろえておけば、担当者が変わっても同じ基準で処理を引き継げます。

マニュアル化する時間や人手が足りない場合は、経理BPOの無料相談で相談することもできます。まずは自社の経理業務のうち、担当者の記憶だけに頼っている工程を1つ書き出すところから始めてください。

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「何から始めればいいか分からない」段階のご相談こそ歓迎です。現状を伺い、貴社に合う打ち手を持ち帰りいただけます。