経理代行は個人事業主でも依頼でき、記帳・請求書発行・支払い管理といった業務の一部だけを外部委託できます。費用は記帳のみなら月6,000円程度から、決算書の作成まで含めると月2万円〜4万円が目安です。法人向けサービスと違い、業務範囲を小さく区切って依頼できる点が個人事業主にとっての利点です。本記事では依頼できる範囲・費用相場・税理士との使い分け・選び方を解説します。
この記事は、確定申告や日々の記帳に追われていて、経理代行を使うべきか判断したい個人事業主・フリーランス向けです。
※ 2026年8月時点の情報です。
この記事でわかること
- 個人事業主が経理代行に依頼できる業務範囲
- 依頼を検討すべき3つのタイミング
- 記帳代行・税理士との違いと使い分け
- 費用相場と選び方の3つの軸
経理代行とは?個人事業主が依頼できる業務範囲
経理代行は個人事業主も利用でき、記帳や請求書発行だけを切り出して依頼することもできます。法人専用だと思われがちですが、実際には対象を選びません。
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経理代行とは、記帳・請求書の発行・入出金の管理・決算書の作成準備といった経理業務を、外部の専門会社や税理士事務所に委託するサービスのことです。法人だけでなく個人事業主も依頼でき、業務の一部だけを切り出して頼める点が特徴です。
依頼できる業務は幅広く、すべてを一括で頼む必要はありません。日々の記帳だけ、請求書の発行だけ、といった部分的な依頼が一般的です。
具体的には、現金出納帳や経費帳の記帳、請求書・領収書の発行、口座の入出金確認、月次の試算表作成などが対象になります。確定申告の直前だけ帳簿を整えてもらう単発依頼も可能です。
経理代行は個人事業主でも依頼できる
当社は補助金を使った会計ソフト・受発注ソフトの導入支援を手がけており、中小企業が経理業務のどこでつまずくかを申請の現場で見てきました。個人事業主の場合、つまずきの多くは「どこまで自分でやり、どこから頼むか」を決めていないことにあります。
MM総研が2026年3月に実施した個人事業主のクラウド会計利用に関する調査(確定申告実施者15,845件対象)があります。この調査では、会計ソフトの利用率は40.9%、クラウド会計ソフトの利用率は38.4%でした。ソフトを使っていても、入力や仕訳の判断そのものは自分で行っている人が大半だと分かります。
個人事業主が経理代行を検討すべき3つのタイミング
経理代行を検討すべきタイミングは、確定申告前に帳簿が未整理・売上増で仕訳が増えた・本業に集中したい、の3つです。
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経理代行を検討すべき3つのタイミング
1つ目は、確定申告の時期が近づいているのに帳簿が数か月分たまっているケースです。この段階で依頼すると、記帳の遅れを解消しながら申告準備を進められます。
2つ目は、取引先が増えて月あたりの仕訳数が急に増えたケースです。手作業の記帳時間が本業を圧迫し始めたら、切り分けを検討する合図といえます。
3つ目は、単純に本業へ充てる時間を増やしたいケースです。売上規模が小さくても、記帳に週数時間かかっているなら委託で浮く時間の価値の方が大きいことがあります。
3つのどれにも当てはまらず、取引数が少なく自分で十分管理できている場合は、無理に依頼する必要はありません。判断に迷ったら、経理BPOの無料相談で自分のケースが当てはまるか確認することもできます。
タイミングを見誤ると、依頼までの検討期間そのものが負担になります。特に確定申告直前は依頼先の受付が埋まりやすいため、迷った時点で早めに問い合わせておくほうが選択肢を残せます。「まだ早いかもしれない」と先延ばしにするより、一度相談してから判断する方が結果的に時間の節約になることもあります。
経理代行と記帳代行・税理士への依頼の違い
経理代行・記帳代行・税理士は対応範囲と役割が異なり、目的に応じて使い分けが必要です。
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記帳代行は「帳簿をつける」作業のみに特化したサービスです。経理代行はそれに加えて請求書発行や支払い管理まで含む、やや広い範囲を指します。税理士は記帳に加えて、確定申告書の作成・提出という税理士資格が必要な業務まで担えます。
注意: 申告書の提出代行は税理士資格が必要
記帳代行会社や経理代行会社は、税理士法上、確定申告書の作成・提出そのものを代行できません。申告書の提出まで任せたい場合は、税理士または税理士と提携した経理代行会社を選ぶ必要があります。
| サービス |
対応範囲 |
向いている人 |
| 記帳代行 |
帳簿の記帳のみ |
申告書は自分で作成する人 |
| 経理代行 |
記帳+請求書発行+支払い管理 |
経理業務全般を任せたい人 |
| 税理士(顧問契約) |
記帳+申告書の作成・提出 |
申告まで丸ごと任せたい人 |
私も個人事業主から相談を受けた際、「経理代行に頼めば確定申告も終わると思っていた」という誤解に出会ったことがあります。契約前に、申告書の提出まで含まれるかどうかを必ず確認してください。
誤解に気づくのが申告直前だと、税理士を新たに探す時間が足りなくなります。記帳だけを依頼する場合でも、申告書は自分で作るのか、別途税理士に頼むのかを先に決めておくと、直前で慌てずに済みます。両方を依頼したいなら、税理士と提携している経理代行会社を最初から選ぶのが近道です。
個人事業主向け経理代行の費用相場
個人事業主向けの経理代行費用は、記帳のみで月6,000円〜4万円、決算書作成まで含めると月2万円〜4万円が目安です。
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記帳代行のみの依頼は月額6,000円〜4万円、決算書作成・申告書作成込みの依頼は月額1万円〜5万円が目安とされています。記帳代行会社に単発で頼む場合は、1仕訳あたり60円〜100円という従量課金の例もあります。
費用を左右する要因は、月間の取引件数・請求書発行の有無・給与計算の有無の3つです。取引が少ない個人事業主ほど割安になりやすいのが、従量課金型の特徴。
| 依頼範囲 |
費用目安 |
| 記帳のみ |
月6,000円〜4万円 |
| 記帳+請求書発行・支払い管理 |
月1万円〜3万円 |
| 記帳+決算書作成・申告書作成込み |
月2万円〜5万円 |
見積もりを比較する際は、対応する取引件数の上限を必ずそろえてください。上限を確認せずに金額だけ比べると、繁忙期に追加費用が発生して当初の想定を超えることがあります。費用相場をさらに詳しく知りたい場合は、記帳代行の費用相場|依頼先別の料金と抑える4つのコツも参考にしてください。
経理代行と青色申告65万円控除の関係
経理代行を使って複式簿記による記帳を整えると、青色申告特別控除の65万円控除を受けやすくなります。複式簿記とは、取引を「借方」と「貸方」に分けて記録し、資産・負債・利益のつながりまで把握できる帳簿形式のことです。
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国税庁の青色申告特別控除に関するタックスアンサーがあります。この情報では、複式簿記で記帳し電子帳簿保存またはe-Taxで申告すると65万円、同じ複式簿記でも紙提出なら55万円、簡易な帳簿では10万円が控除額の上限とされています。
控除額の差は10万円から65万円まで広がるため、帳簿の付け方だけで納税額が変わることになります。複式簿記に不慣れな個人事業主にとって、経理代行に記帳を任せることは控除額の維持にも直結する選択です。
国税庁が発表したe-Taxの利用状況があります。令和7年分の所得税等の確定申告では、申告人員2,353万人のうちe-Tax利用者は1,814万人で、利用率は77.1%でした。自宅からのe-Tax申告も949万人にのぼり、全体の約4割を占めています。電子申告を前提にした帳簿管理は、すでに標準になりつつあります。
個人事業主に合う経理代行の選び方3つのポイント
個人事業主が経理代行を選ぶ際は、確定申告との連携・対応ソフトの一致・繁忙期の対応力の3点を確認してください。
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個人事業主に合う経理代行の選び方
1つ目は確定申告との連携です。記帳だけを頼むのか、提携税理士による申告まで任せられるのかを事前に確認します。2つ目は対応ソフトの一致です。自分が使っている、または使う予定の会計ソフトに対応しているかを必ず確認してください。非対応だと、データの移行作業が余分に発生します。
3つ目は繁忙期の対応力です。確定申告の時期は依頼が集中するため、繁忙期に新規受付を止める会社もあります。依頼したい時期に対応可能かを、契約前に問い合わせておくと安心です。
あわせて、契約期間の縛りや解約条件も見落としやすいポイントです。個人事業主は売上規模が年によって変わりやすいため、月単位で解約できる契約のほうが、依頼範囲を後から調整しやすくなります。長期契約が前提のプランしかない会社は、最低契約期間を事前に確認してください。
比較軸をさらに詳しく知りたい場合は、経理代行の選び方5選|比較軸と契約前チェックリストで法人向けも含めた5つの軸を解説しています。
導入までの3ステップ
経理代行の導入は、依頼範囲を決める・複数社を比較する・契約して引き継ぐ、という3ステップで進めます。
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経理代行導入までの3ステップ
ステップ1では、記帳のみか、請求書発行や申告まで含めるかを自分の中で決めます。範囲を紙やメモに書き出しておくと、複数社への説明がぶれません。
ステップ2では、最低2〜3社に同じ依頼範囲で見積もりを依頼し、費用と対応可否を比較します。取引件数の上限も同時に確認しておくと、契約後の追加費用を防げます。
ステップ3では、契約後に過去の帳簿データや領収書、会計ソフトのアカウント情報を引き継ぎます。個人事業主は法人ほど引き継ぎ資料が多くないため、多くの場合1〜2週間で移行できます。より詳しい導入の流れは、経理BPO導入の流れ|6ステップと期間の目安【2026年】でも解説しています。
よくある失敗パターンと回避策
経理代行でよくある失敗は、依頼範囲を決めずに契約し、確定申告の直前になって対応外だと気づくことです。
あわせて経理のやり方とは?初心者向け5ステップもご覧ください。
失敗する依頼方法と失敗しない依頼方法
1つ目は、範囲を決めずに依頼して、後から「請求書発行は対象外だった」と気づくケースです。回避策は、依頼範囲を書面やメールで明確にしてから契約することです。
2つ目は、確定申告の対応可否を聞かないまま契約し、申告書は結局自分で作ることになるケースです。回避策は、契約前に申告書の作成・提出まで含まれるか確認することです。
3つ目は、確定申告の繁忙期直前に依頼を始め、対応してもらえないケースです。依頼は繁忙期の2〜3か月前に動き出すと、選択肢を狭めずに済みます。焦って1社だけで即決すると、後から条件を見直しにくくなります。
どこから手をつけるべきかの整理は、経理の現状分析(無料)からご相談いただけます。ご契約を前提としたご案内ではありません。
よくある質問
経理代行は個人事業主でも利用できますか?
はい。記帳や請求書発行など、一部の業務だけを個人事業主でも依頼できます。
経理代行の費用相場はいくらですか?
記帳のみで月6,000円〜4万円、決算書作成込みで月2万円〜4万円が目安です。
税理士と経理代行会社はどちらに頼むべきですか?
申告書の作成・提出は税理士、日々の記帳や請求書対応は経理代行会社が向いています。
確定申告の提出そのものも代行してもらえますか?
記帳までが対象で、申告書の作成・提出代行には税理士資格が必要です。
経理代行を使うと青色申告の控除額は変わりますか?
複式簿記で電子帳簿保存やe-Taxを行えば、65万円控除の対象になります。
まとめ: 経理代行は個人事業主も範囲を絞れば無理なく使える
経理代行は個人事業主でも依頼でき、記帳のみといった小さな範囲から始められます。費用は月6,000円程度からで、確定申告との連携や対応ソフトを確認すれば、法人ほど身構えずに導入できます。
まずは自分がどこまで自分で管理し、どこから任せたいかを整理することから始めてください。範囲が定まらない場合は、経理BPOの無料相談で自分に合う依頼範囲を一緒に整理することもできます。
売上規模や取引件数は年ごとに変わるため、依頼範囲も一度決めたら終わりではありません。確定申告のたびに記帳の負担を見直すこと、それが経理代行を無理なく使い続けるコツ。